近年、都市鉱山(2009年1月26日号「都市鉱山」参照 )として、使用済み小型家電が注目を浴びています。小型家電とは、家庭用の小型の電子・電気機器を指し、具体的には携帯電話やデジタルカメラなどが含まれます。これら小型家電には、金や銀などの貴金属の他、インジウム、タングステン、ネオジムなどのレアメタルが含まれており、その資源性が注目されています (2009年6月8日号「都市鉱山と金属資源のリサイクル」参照)。
ところで、皆さんは、『退蔵』という言葉をご存知でしょうか?また、製品寿命を迎えた使用済み小型家電のうちでどの程度がリサイクルされているかご存知でしょうか?今回の豆知識では、この『退蔵』をキーワードに、小型家電のリサイクルを説明させて頂きます。
まず、退蔵の意味は、国語辞書(大辞泉)によると 「物資・金銭などを使用せずにしまいこんでおくこと」と示されています。例えば、携帯電話の場合には解約後に、デジカメの場合には新しい製品に買い換え後に、それぞれ使用されずにしまいこまれている状態などが、この退蔵にあたります。
次に、小型家電のリサイクル状況は、例えば、携帯電話の場合、村上らの調査(村上 進亮ら、日本LCA学会誌 5(2009), p.138-144)によると、 2006年の発生総量のうち約65%が退蔵されており、リサイクルルートに乗ったと考えられるものはわずか23%であると示されています。また、過去からの累積では、2007年末までに、日本では3億6500万台程度の携帯電話が使用済みとなっており、そのうちの45%が退蔵されていると示されています。この数値を見て頂ければ、使用済み小型家電のリサイクルにおいて、リサイクルの輪に乗れない退蔵というものが無視できない存在であることは納得していただけるかと思います。
皆さんの家にも、このような『退蔵されている小型家電』が一台もしくは複数台存在しているのではないでしょうか?もしよかったら探してみてください。最後に、小型家電のリサイクルに関わる制度について紹介させて頂きます。現在、我が国では、使用済み小型家電を集め、レアメタルや貴金属などの有用金属を回収する新たなリサイクル制度案をまとめています。これを機会に、一緒に、小型家電のリサイクルについて考えていきましょう。