2009年1月26日号
都市鉱山小口正弘
都市鉱山とは、使用済み製品を鉱山に見たてて、それらに含まれる有用資源をリサイクルしようという考え方です。東北大学選鉱製錬研究所の南條道夫教授らによって1980年代に提唱されたもので、近年、金属資源の価格高騰などを背景に注目を集めています。現在、使用済みのパソコンや携帯電話などから銅や金などの金属がリサイクルされており、これは正に都市鉱山の活用例の一つと言えるでしょう。 独立行政法人物質・材料研究機構は、日本における都市鉱山の規模に相当する値として、国内に蓄積されている金属の量を推計し、その量が天然資源量に比べて無視できない量であると報告しています(http://www.nims.jp/jpn/news/press/press215.html参照)。 例えば、金は6,800トン、銀は60,000トン、タンタルは4,400トン、インジウムは1,700トンが国内に蓄積しており、この量はそれぞれ世界の埋蔵量の約16%、22%、10%、61%に相当するとしています。 この数字を見ると、金属資源の乏しい日本にとって、都市鉱山という考え方が今後さらに重要性を増すものと考えられます。 ただし、これらの全ての金属が簡単にリサイクルできるわけではないことも知っておく必要があります。例えば、製品中の金属濃度が低濃度で経済的にリサイクルできない場合があります。また、使用済み製品が都市鉱山となるには、まとまった量の製品を集める必要がありますが、小型で台数の多い電気・電子製品などは世の中に広く散らばっているために、収集に大きな手間と費用がかかる場合もあります。 今後、都市鉱山の有効活用を促進するためには、様々な製品に含まれる金属の種類や量、製品の存在量や存在場所をきちんと把握し、その上でどの製品に含まれるどの金属を回収すべきか、また、どうやって使用済み製品を収集すべきかを検討することが重要であり、そのための研究や取組が始まっています。 |
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