第1期中期計画期間(2001年度~2005年度)の成果例

循環センターの前身である「循環型社会形成推進・廃棄物研究センター」は、2001年4月に設置され、5カ年の研究計画(第1期中期計画)に沿って2005年度まで調査・研究を進めてきました。センターは、廃棄物対策という緊急な政策課題に対応するための「政策対応型研究センター」として位置付けられ、大きく分けて以下の3つの方向からのアプローチによる調査・研究を行うことで、研究成果を環境省等の政策に活かしてきました。

前中期概要イメージ1

1.循環型社会形成のための評価手法と基盤システムの整備

◎ 日本全体で資源・モノがどのくらい消費され、どのように利用され、廃棄されているのかを明らかにしました。

物質フロー分析やそれに基づく形成推進指標策定の研究によって、国の循環型社会基本計画における数値目標の設定に貢献しました。

◎ 循環型社会への転換策の環境負荷を比較することで、転換策の優劣を検討しました。

例えば、プラスチック製容器包装を鉄鋼産業でリサイクルした際の環境負荷の効果を、ライフサイクルアセスメント(LCA)によって比較・評価しました。

日本の物質フロー図

2.廃棄物の資源化、処理・処分技術の開発

◎ 廃棄物を有効に利用し、資源として活用するための技術開発を行いました。

廃棄物から、燃料電池のエネルギー源となる水素を取り出す技術開発を、比較的低温で熱分解しガス化する方法と微生物発酵を利用する方法の両面から進め、地域ごとのごみの排出特性を活かしたシステムを構築することに取り組みました。

◎ 廃棄物に伴う事故などの原因究明や対応策の検討を行いました。

安定型処分場における高濃度硫化水素の発生原因を解明し、その防止対策を明らかにしました。

廃棄物の含水率と硫化水素発生濃度の関係

◎ より安全・安心な最終処分場を目差す技術開発に取組みました。

処分場の廃止までの時間を早めるための安定化促進技術を開発しました。

最終処分場安定化促進技術

3.資源循環・廃棄物処理の安全性の制御

◎ 循環廃棄過程を中心として、化学物質の挙動や物質フローの解析、制御方策の検討を行いました。

例えば、有害性が懸念される臭素系の難燃剤について、排出係数、排出量推定を行うことで、発生源や曝露(経路)を解析し、排出制御技術について検討しました。

◎ 循環資源・廃棄物の適正管理のための、モニタリング手法を開発しました。

バイオアッセイ(生物や細胞を用いて化学物質の有毒性を測定する方法)手法を用いた測定法が、廃棄物焼却ガスなどに含まれるダイオキシン類を測る簡易測定法として公定法に採用されました。

◎ 有害物質を含有する循環資源や廃棄物を安全に処理するための技術開発を行いました。

廃棄処分が難しいとされてきたPCBについては、分解技術のメカニズム研究と開発を実施し、政府による処理事業の技術評価に活かされました。

有害物質管理イメージ