物質フロー革新研究プログラム
資源の持続的利用に向けた物質フローのライフサイクル全体を通じた評価と改善に係る研究に取り組みます。
具体的には、多様な経済主体間の連鎖的な物質利用を経済社会の物質フローとして観察し、資源採掘から再生・廃棄に至る物質のライフサイクル全体を通じた社会蓄積と環境排出に着目し、地球環境と人類社会の健全化の実現に向けた物質フローの重要な変革要素を解明し、その対策評価を行います。
これらの取組により、物質フローの転換経路を解明する科学的知見を総合的に集積し、資源生産性の向上に貢献するとともに、物質ライフサイクルに関わる多様な経済主体が物質フローの長期革新戦略を講じる潮流を社会に築くことを支援します。
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PJ1:物質フローの重要転換経路の探究と社会的順応策の設計
物質フローに起因する環境・社会影響を解析する物質フロー・ネクサスモデルを構築し、物質フローの変革方向性と科学的目標の究明を行い、変革の変遷過程における社会順応策を消費,サプラチェーンおよびインフラに着目して提示する。研究を通じて、プラネタリーヘルスの実現に向けた物質フローの変革に関する科学的知見の集積化と発信に取り組む。
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PJ2:物質フローの転換と調和する化学物質・環境汚染物管理手法の開発
物質循環の変化に随伴する化学物質・環境汚染物の挙動解明とシステム解析を行い、物質フローの転換と調和する化学物質・環境汚染物管理手法の開発を行う。具体的には、化学物質・環境汚染物の存在や環境排出が新たな物質利用・循環の阻害となりうる箇所および要因の同定と除去に向けた方策提示のための枠組みと分析手法の提案、プラスチック、耐久消費財等の金属含有製品、土石系副産物の循環利用における重金属、POPs(BFRs、PFAS等)等の化学物質、環境汚染物としての海洋プラ・マイクロプラを対象とした事例分析を行う。個別事例において新たな物質利用・循環の阻害要因の同定と除去に向けた方策を提示するとともに、事例分析を通じて提案する枠組みと分析手法の有効性を検証する。
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PJ3:物質フローの転換に順応可能な循環・隔離技術システムの開発
生産側の物質フローの転換との円滑な接続を志向した、廃棄物処理・処分側におけるプラネタリーヘルスの実現に資する技術・システム及びその転換方策の提示に向け、炭素ネガティブ排出に繋がる資源循環技術・システム及び物質循環の安全性を確保するための有害物質保管・隔離技術の開発並びに社会的要素も勘案しつつ技術の実現のためのコスト、政策的仕組みを含めた廃棄物処理・処分技術等の転換ロードマップを策定する。
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