循環・廃棄物の基礎講座
2017年12月号

雑品スクラップに対する新しい規制

寺園 淳

雑品スクラップとは

「雑品スクラップ」という言葉を聞かれた方はあまり多くないと思います。一般的に雑品スクラップとは、解体現場・工場や一般家庭・事業所等から使用済となって排出される、鉄・非鉄金属、プラスチック等を含む雑多な未解体・未選別のスクラップのことをいいます。環環でも以前(2011年1月24日号)、「金属スクラップ(雑品)」として紹介したことがあります。輸出業者などは「雑品」「ミックスメタル」とも呼んでいましたが、環境省は2014年頃から雑品スクラップと呼び始めるようになりました。

雑品スクラップは中国へ多量に輸出されており、現地で解体・選別されリサイクルされているとみられています。雑品スクラップは主に、家電が多い「家庭系雑品」と、配電盤・モーター・ケーブルなどが多い「工業系雑品」があります。

これまで雑品スクラップには、有害物質管理・資源回収・火災防止といった3つの観点から問題があることを指摘してきました(2011年1月24日号)。すなわち、鉛などの有害物質やフロンが適正管理されずに輸出されてしまうこと、国内でリサイクルするための法律ができている対象機器が資源として容易に輸出されてしまうこと、ならびに船舶や港湾などの保管場所で火災が度々発生していること、という点です。これらの問題があるにもかかわらず、有害物質が基準以上に存在することの証明が難しいためにバーゼル法(有害廃棄物の越境移動を規制するバーゼル条約の国内法)の対象でもなく、有価で売れるために廃棄物処理法の規制対象でもないとして、二つの法律の規制をほとんど受けずに輸出されてきました。

雑品スクラップの例

雑品スクラップの例

廃棄物処理法で規制される「有害使用済機器」

2017年6月に改正された廃棄物処理法では、このような雑品スクラップに対する規制が新たに加わることになりました。具体的には、雑品スクラップの中で法律で規制すべきものを同法第17条の2で「有害使用済機器」を定義して、その保管や処分を行う者に対して、都道府県への届出、保管や処分の基準の遵守を義務付けるとともに、都道府県が立入検査などの措置が行えるようになりました。これによって、収集運搬については規制されませんが、保管と処分については産業廃棄物に近い規制を受けることになります。(「有害使用済機器」という用語になったのは、「雑品スクラップ」では多様な解釈があり得て法律用語として採用することが難しかったためと考えられます。)有害使用済機器については、法律で「使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く。)のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるもの」と定めて、具体的な機器を政省令で指定することになりました。環境省で検討を続けた結果、政省令案(2017年11月14日から12月13日まで、パブリックコメント受付。2018年1月までに公布予定)では有害物質の含有、火災リスクなどに着目して、イラスト:たまき&じゅん主には家電リサイクル法対象となる家電4品目と、小型家電リサイクル法の対象である28品目が指定されることとなっています。家電と容易に区別できる業務用機器は対象外の予定ですが、今後の実態把握とともに、将来的には対象に追加される可能性もあります。

廃棄物処理法ではこれまで、有価物のために廃棄物ではないと称して規制を逃れる事例に対して、1999年の最高裁判例で採用された「総合判断説」やその後の指針などによって、取引価値だけで廃棄物を判断されないように、本来、廃棄物として規制されるべきものを捉える努力がされてきました。しかし、現場ではどうしても取引価値が重視される状態が続いたため、ついに廃棄物でないものを「有害使用済機器」として同法の対象としたという意味で、2017年6月の法改正は画期的であったといえます。

「有害使用済機器」の規制でどのように変わるか

2018年4月からの改正法施行で、今まではほとんど野放しであった、雑品スクラップを保管・処分している国内の業者に対する規制が始まります。都道府県への届出とともに、保管場所では囲いや掲示板の設置、汚水の浸透防止措置、保管高さの制限などが、処分では有害物質の飛散や流出の防止がそれぞれ義務付けられます。また、都道府県による立入検査や改善命令などの権限も与えられます。

以前、雑品スクラップは年間130~200万トン程度が中国に輸出されていると推計してきました。雑品スクラップは貿易統計では「鉄スクラップ」の一部として集計されており、最近の統計値の傾向では輸出量はもう少し減っていると考えられます。雑品スクラップとして不適正な取扱いを行っていた業者による取引きが難しくなることで、今後輸出を断念される場合があるともいわれており、中古リユースが難しい家電を雑品スクラップの業者に渡していた不用品回収業者なども取扱いを減らして家庭から集めることは少なくなるかもしれません。有害使用済機器として指定されるのはほとんど家電(家電と容易に区別がつかない業務用機器は対象に含む)ですので、家電4品目であれば家電リサイクル法に従った排出が求められ、小型家電であれば小型家電リサイクル法によるリサイクルが期待されます。小型家電リサイクルは自治体によって対象品目が28品目より少ない場合も多いので、その改善や市民に対する適正排出の意識啓発が望まれます。

<もっと専門的に知りたい人は>
  1. 寺園淳ほか:有害物質管理と資源回収の観点からの金属スクラップ(雑品)発生・輸出の実態解明、廃棄物資源循環学会論文誌、Vol.22、No.2、2011
  2. 使用済み電気製品の国際資源循環 ~日本とアジアで目指す E-wasteの適正管理~
    環境儀 NO.57
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