近況
2014年6月号

家電リサイクル法の見直し議論が進んでいます

田崎 智宏

家電リサイクル法と見直しの経緯

昨年(2013年)から、家電リサイクル法の見直しのための議論が、環境省と経済産業省の合同審議会で行われています。私も委員の一人として議論に加わっています。ここでは合同審議会での議論の状況と主な論点を紹介します。

イラスト:しげる家電リサイクル法は、2001年から施行され、テレビ、エアコン冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機の四品目を対象にリサイクルを進めるものです。小売業者がこれらの使用済み家電製品を収集して、製造業者がリサイクルを行う仕組みです。そのための費用は、消費者が使用済み家電製品を廃棄するときに払う、いわゆる「後払い方式」が採用されています。前回の見直し議論は2006~2008年にかけて行われました。リサイクル料金の低額化や料金の設定根拠の透明化などが図られる一方、実質的に大きな法改正には至りませんでした。そのため、今回の合同審議会ではそのときに実現しなかった論点などが再度議論されている状況にあります。

合同審議会での議論

審議会での議論は、毎回、2時間程度の時間で行われます。このうち30~40分程度は、事務局(両省)や関係者から用意された法律の実施状況などの資料の説明にあてられます。したがって、議論は残りの1時間と少しの時間で行われることが多い状況です。合同審議会は2つの審議会の委員が一緒に議論を行うので、委員の数が比較的多く、家電リサイクル法の合同審議会の場合、28名の委員がいます。やむを得ない事情で欠席する委員もいますので、20名前後が出席して議論します。例えば、80分を20人の委員で均等に発言すると、一人4分しか持ち時間がありません。したがって、合同審議会の議論では、短い時間で重要な点を指摘することが求められます。また、委員によって立場や見方が異なるので、そのような考え方の異なる委員にも伝わるように注意して発言しないと意見がかみ合いません。

先ほど述べたように、今回の見直し議論は、前回の見直し議論で意見がまとまらなかった点についての議論もされています。前回まとまらなかったということは、意見に違いがあり、なかなか議論がすすまないということでもあります。そのような家電リサイクル法の論点としては、リサイクルの料金を誰がいつ払うべきかという点があります。前回の見直しでは、現行の後払い方式の代替案として、消費者が四品目の家電を購入したときに支払うという4つの方式について議論がされました。今回も、この支払い方式のあり方が大きな論点です。しかしながら、現行方式を含めた5つの方式を的確に比較しながら、大人数の合同審議会で議論することは至難の業です。一人一人の発言の時間が限られているだけでなく、どの方式の長所あるいは短所を述べているのか曖昧であったり、それらの違いを深く考えることなく一括りにした発言がされてしまったりするためです。そこで、今回の見直し議論では代替案を一つに絞って現行の後払い方式と比較することとなりました。異なる意見を有する関係者で政策議論をするには、議論の仕方も注意しないといけないということを物語っています。

ところで、リサイクル法で見直しすべき点は、必ずしも支払い方式だけではありません。そこで、今回の見直しでは、議論がかみ合いにくい支払い方式はいったん後回しにして、その他の論点が先に議論されました。目立たないが粛々と改善していくべき点が議論されなくなることを防ぐためでした。

家電リサイクル法についての誤解

実は、家電リサイクル法が対象としているのは、全ての家電四品目ではないのです。小売業者が回収して製造業者がリサイクルをするという家電リサイクル法のルートにのらない使用済み家電四品目は廃棄物処理法のもとでの廃棄物処理・リサイクルがされます。しかし、家電リサイクル法ルートにのらない使用済み家電四品目のなかには不適正な処理がされているものがあるという懸念が強く、また、家電リサイクル法ルートに消費者が使用済み家電を排出するには利便性が高くないという状況があります。消費者に排出者としての責任を全うしてもらうためにも、ある程度の利便性やわかりやすさを有する仕組みが求められています。「消費者の視点での見直し」という論点が、今回の見直し議論における新たなキーワードになっています。また、家電リサイクル法ルートにのらない使用済み家電四品目を収集する責任は自治体にありますが、自治体の取組が十分でないということも議論されています。使用済み家電四品目のリサイクルが2つの法律に基づいているということを十分に理解しないまま、家電リサイクル法ルートだけの仕組みを考えても片手落ちです。今回の見直し議論は、前回の議論よりもこの点がより考慮され、全体的な視点での議論ができることを期待しています。

<もっと専門的に知りたい人は>
  1. 田崎智宏編(2006)家電リサイクル法の実態効力の評価、国立環境研究所研究報告 R-191
  2. 環境省の家電リサイクル法のページ
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