災害時には被災地において短時間に多種類かつ大量の災害ごみが発生します。発災後、まず人命救助活動を行った後には、被災者の方々の生活環境からすみやかに災害ごみを撤去し、一刻も早い復旧を目指さなければなりません。その際に「仮置場」と呼ばれる、ある程度の広さのある場所に災害ごみを運び込んで集積していきます。仮置場はその名の示す通り、あくまで災害ごみを一次的に持ち込む場所ですが、続けて行われる処理(リサイクルや埋め立てなど)に向けて、この段階で適切に分別されていること、環境・安全面等に気を付けた保管・管理を行う必要があります。以下では、「仮置場での適切な分別」の観点から、災害発生時に時おり見られる課題と工夫の実例をひとつご紹介します。
熊本地震発生の翌々日に、自治体が用意した仮置場に行ってみると1)、すでに被災家屋等から運び込まれた災害ごみが混合状態で積まれ始めていました。街なかでは防災無線によって災害ごみの分別が広報されていましたが、仮置場では十分な数の管理人を配置できる余裕もなく、トラックに積載して運び込んできた住民の方々が災害ごみの種類ごとに分別して置くことができるような案内もできておりませんでした。
このような場合の工夫として、ごみを運んできた方が分別しやすいよう、仮置場に分別の見本となる小さな山を作ることがあります。また、分別がうまくいっている仮置場では、各分別のところに分かり易く種類名を書いた立て看板を設置したり、仮置場の入り口に仮置場内の分別物の配置や搬出していく順番を示した順路を地図にして表示したり、といった工夫もなされています。
災害時の混乱した状況下で災害ごみについて分別の配慮を行うことは大変なことではありますが、分けないまま排出して山となった混合ごみを後から分別するよりも、先手を打って最初から分別をしっかり行いつつ排出したほうが、処理とリサイクルの過程をトータルで見ると時間も手間もお金も少なくて済むと言われています。また、きちんと適切に分別されていることで、害虫や臭気の発生、災害ごみ中の可燃分の自然発火による仮置場火災の危険などに対しても、「環境・安全面で行き届いた保管・管理」がし易くなる、といったメリットも生じるのです。