資源循環・廃棄物研究センター
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プラスチックの処理・リサイクル技術
高炉原料化 [技術の概要]
  
技術概要
マテリアルフローにおける位置付け、受入実績
受入可能な廃プラスチック
受入能力
処理設備の概要
受入条件等

 

技術概要
  • “高炉原料化”技術は、廃プラスチックを高炉原料として活用する技術である。
    日本では、日本鋼管株式会社(NKK)(当時、現JFE)が、最初にその技術開発に取り組み、平成8年10月に京浜製鉄所内に廃プラスチックの一貫リサイクルシステムを構築した。
  • 高炉は製鉄所の上流に位置し、鉄鉱石とコークスから銑鉄を製造する設備であり、鉄鉱石、コークスは炉の上部から交互に装入される。
    下部の羽口より1,200℃前後の熱風を送り込み、コークスおよび羽口より吹き込まれた微粉炭をガス化し、この高温ガスで鉄鉱石を還元・溶融する。高炉原料化技術は、このコークスや微粉炭の代わりに廃プラスチックを用いるものである。
    廃プラスチックは形態的にフィルムと固形の2系統に分けて、それぞれ粉砕・造粒しそれらを混合した後吹き込みタンクに移送され、タンクより高圧空気で羽口から高炉に吹き込まれる。
    吹き込まれたプラスチックは瞬時に還元ガス(CO、H2)となり、鉄鉱石の還元材として利用される。
    炉頂から排出されたガスは高炉ガスとして製鉄所内の加熱炉、発電プラントで有効利用される。
  • 本プロセスでのプラスチックの利用効率は、還元反応利用としてのケミカルリサイクルが60%、燃料としての利用が40%である。
  • 産廃系の廃プラスチックは、電気・通信業、製造業(自動車・機械、化学・印刷、フィルム、プラスチック加工等)、小売業といった事業者らと契約している。取り扱っている廃プラスチックの代表例としては、OA機器・ボトル容器・磁気テープ・フィルムシートなどがある。
  • なお、塩化水素が高炉に悪影響を及ぼすことが予想されるため塩化ビニル等は、そのままでは利用できない。塩化ビニルの高炉での利用技術について、旧NKKは(社)プラスチック処理促進協会、塩化ビニル環境対策協議会と共同で脱塩素化技術を開発し、実用化している。回収された塩酸は製鉄所内で有効利用している。

廃プラスチック高炉原料化施設のフロー図

図をクリックすると拡大します
図 廃プラスチック高炉原料化施設のフロー

出典:(社)プラスチック処理促進協会資料、旧NKK資料を基に作成

 

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マテリアルフローにおける位置付け、受入実績
  • 高炉原料化は容器包装リサイクル法における再商品化手法として、平成16年度には、プラスチック製容器包装再商品化量の18%に相当する5.6万tの再商品化を行っている。
  • なお、産業廃棄物の廃プラスチックの実績については、高炉原料化、コークス炉化学原料化、ガス化、油化と合わせて2万t(2004年)との報告がある((社)プラスチック処理促進協会)。
表 プラスチック製容器包装の再商品化実績

表 プラスチック製容器包装の再商品化実績

出典:(財)日本容器包装リサイクル協会

 

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受入可能な廃プラスチック
  • JFEでは、産業系廃プラスチック(固形プラスチック、フィルム系プラスチック等)、容器包装プラスチックを受け入れている。
  • 容器包装プラスチックについては、容器包装リサイクル法で定められた「分別基準適合物」を受け入れている。

     

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    受入能力
    • JFEにおいては、施設立地状況に示すとおり国内で2事業所が稼働しており、合計処理能力は約12万トン/年(2000年時点)である。
      また、神戸製鋼加古川事業所の処理能力は1万トン/年である。
    • 日本鉄鋼連盟が加盟企業に実施したアンケート調査結果によれば、鉄鋼業界で受入可能な廃プラスチックは高炉原料化、コークス炉化学原料化ガス化溶融(サーモセレクト方式)の合計で、2004年時点で36万トン(うち、容リプラで28万トン)となっている。
      なお、2010年には70〜80万トン(容リプラで50〜60万トン)まで拡大する予定である。
    出典:産業構造審議会廃棄物・リサイクル小委員会第29回容器包装リサイクルワーキンググループ資料(2005年11月10日)

     

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    処理設備の概要
    • 以下の工程で、異物・不燃物除去、粒状化処理が行われている
    @前処理
    • 自治体から引き取ったベール品は、まず解砕機でほぐす。
    • プラスチック種類選別機で、フィルム系と固形・ボトル系に選別する。
      その後、フィルム系と固形・ボトル系は、別ラインで処理される。なお、フィルム系と固形・ボトル系が個別にベール化されている場合は、種類選別を省くことができる。
     
    Aフィルム系の処理
    • 磁選機で金属類の異物を除去して、破砕機にかける。
    • 遠心式比重分離装置で、塩化ビニルを除去する。塩化ビニルの比重は1.4、PP・PEの比重は1.0以下であるので、遠心力を利用して比重差をさらに鮮明にして、塩化ビニル等を分離する。
      除去された塩化ビニル等は埋立処分される。
    • 塩化ビニルを除いたプラスチックを乾燥機で乾燥させた後、造粒機で、適度な大きさに造粒して高炉還元剤とする。
     
    B固形・ボトル系の処理
    • 1次破砕:磁選機で金属類、風力選別機でガラス・陶器類を除去する。
    • 2次破砕:適度な大きさまで砕いて高炉還元剤とする。
      こうして製造されたフィルム系および固形・ボトル系の高炉還元剤は、分級・検査装置で整粒する。
      その後、製鉄所に陸送し、高炉に吹き込む。

     

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    受入条件等
    • 産業系廃プラスチックについては基本的に塩ビ以外を受け入れている。
      容器包装プラスチックについては前処理設備で塩ビ選別機を設置して塩ビを除去している。
    • 塩ビ等塩素含有プラスチックを除去する理由は、塩素に起因する高炉設備の腐食が懸念されるためである。
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