資源循環・廃棄物研究センター
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プラスチックの処理・リサイクル技術
コークス炉化学原料化 [技術の概要]
  
技術概要
マテリアルフローにおける位置付け、受入実績
受入可能な廃プラスチック
受入能力
前処理の必要性

 

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技術概要
  • コークス炉化学原料化は、プラスチックを石炭の代替品として利用する技術であり、新日本製鐵株式会社において開発された。
    コークス炉内部にある炭化室は両側の燃焼室から間接加熱される空間であり、上部装入口から装入されたプラスチックは燃焼することなく熱分解される。
    炭化室は通常の操業において1,000度〜1,200℃の温度領域に維持されるので、装入された廃プラスチックは熱分解して上昇管を経て炭化水素油(タール、軽油)、コークス炉ガスとして回収される他、カーボン残渣等は炭化室内にコークスとして生成され回収される。
  • 発生した炭化水素油は、容器包装樹脂、電子材料や塗料の化学原料として、コークスは鉄鉱石の還元剤として、コークス炉ガスは製鉄所の燃料ガスや発電所等で利用される。
  • 処理能力という観点からは、原料炭に数%の廃プラスチックを混合してコークス炉で乾留処理することができるといわれており、コークス製造のための石炭使用量5,200万t/年(鉄鋼統計要覧平成10年度データ)であることを踏まえれば当該技術による再商品化の受入可能量は大きいと考えられる。
  • 乾留炉による高温分解処理であるため、有害物質の排出がないこともこの技術の特徴である。
    経済性の面では既設コークス炉が流用可能であるため、高炉還元剤としての利用と再商品化コストは同等であるといえる。
図 廃プラスチックコークス炉化学原料化施設のフロー

図 廃プラスチックコークス炉化学原料化施設のフロー
出所:新日本製鐵(株)資料

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マテリアルフローにおける位置付け、受入実績
  • コークス炉化学原料化は、容器包装リサイクル法における再商品化手法として、平成16年度には、プラスチック製容器包装再商品化量の45%に相当する13.8万tの再商品化を行っている。
  • なお、産業廃棄物の廃プラスチックの実績については、コークス炉化学原料化、高炉原料化、ガス化、油化と合わせて2万t(2004年)との報告がある((社)プラスチック処理促進協会)。
表 プラスチック製容器包装の再商品化実績
表 プラスチック製容器包装の再商品化実績
出典:(財)日本容器包装リサイクル協会

 

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受入可能な廃プラスチック
  • 容器包装リサイクル法に基づくプラスチック製容器包装の分別基準適合物
    (ベール品:プラスチック90%、その他10%)が受入対象廃棄物。
  • 産廃、建廃(硬質塩ビ、混合廃棄物)については受け入れていない。
    廃プラ処理という観点からは受入可能であるが、現有再商品化プロセスは容器包装に最適化されており、産廃については、廃掃法の業許可を持っていない点、小ロットである点もネックになっている。

 

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受入能力
  • 新日本製鐵においては、次表に示すとおり国内で5事業所が稼働しており、合計処理能力は約22万トン/年(2005年時点)である。また、JFEにおいても、2005年度より水江原料化工場、福山原料化工場の2事業所が再商品化事業に参画している。
表 新日本製鐵のコークス炉化学原料化施設
事業所名 所在地
事前処理能力(t/hr)
稼働開始
室蘭プラスチック再商品化工場 北海道室蘭市
4.5
平成14年4月
君津プラスチック再商品化工場 千葉県君津市
13.5
平成12年8月
名古屋プラスチック再商品化工場 愛知県東海市
9.0
平成12年8月
八幡プラスチック再商品化工場 福岡県北九州市
9.0
平成14年4月
大分プラスチック再商品化工場 大分県大分市
4.5
平成17年4月
出典:新日本製鐵環境・社会報告書2005
 
  • 日本鉄鋼連盟が加盟企業に実施したアンケート調査結果によれば、
    鉄鋼業界で受入可能な廃プラスチックは高炉原料化、コークス炉化学原料化、ガス化溶融(サーモセレクト方式)の合計で、2004年時点で36万トン(うち、容リプラで28万トン)となっている。
    なお、2010年には70〜80万トン(容リプラで50〜60万トン)まで拡大する予定である。

    出典:産業構造審議会廃棄物・リサイクル小委員会第29回容器包装リサイクルワーキンググループ資料(2005年11月10日)

  • 新日鐵では、コークス炉へ投入する原料炭に対して、約1%の廃プラスチックを投入しているが、今後投入比率を2%に向上させるべく研究開発を進めているところである。
    コークス炉においては、事業所の能力増加ではなく、事業所数の増加という方向性で全体の受入量拡大を目指している。
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前処理の必要性
  • 現時点で受け入れているプラスチック製容器包装については若干の組成変化があるが、運転には影響ない。
  • 高炉は脱塩に対してシビア(含有率0.5%-Cl以下)なのに対し、コークス炉は比較的高濃度のものでも受入可能である。
    君津事業所における受入プラの塩素含有率は2%-Cl程度である。
    以前は5%程度であったものが、ここ数年で大きく低下してきており、現状では、風選により塩ビを除去しているが、将来的には不要となる可能性もある。
  • 廃プラスチックを再商品化するための事前処理の観点からは、灰分はコークスとして回収され高炉でスラグ化するため、他の処理法に比べて異物処理が容易である上、炉への投入が比較的容易である分、粒度の点でも若干許容度が高い技術といえる。
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