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プラスチックの処理・リサイクル技術
現地調査記録

 

〔 昭和電工株式会社 〕
訪問日: 2006年6月28日
 
◆ 同社ウェブサイト
昭和電工株式会社 http://www.sdk.co.jp/
同社環境調和型アンモニア
(ECOANN)の紹介ページ
http://www.sdk.co.jp/ecoann/index.html

 

 
◆ プロセスフロー
昭和電工株式会社へのヒアリング調査及び工場見学に基づき整理したプロセスフローを次図に示す。
図をクリックすると拡大します
図 昭和電工株式会社における加圧二段ガス化のプロセスフロー

 

 

◆ ヒアリングメモ

本施設は株式会社イーユーピー(宇部市)のスケールを2倍にしたものであり、処理能力は195t/日(64,000t/年)。
アンモニア原料供給量の半分(H量換算)を当施設から供給している(残りについてはナフサが原料)。
以下に施設の特徴を整理する。

 

RPF成形〜低温ガス化
  • 自治体等から回収した廃プラスチックをRPF化成型機でRPF化した後(25mm径)、ロックホッパを経由して、砂を流動媒体とする流動床炉形式の「低温ガス化炉」に投入し、流動床炉底部から供給される酸素、スチームをガス化剤として、温度600〜800℃、圧力0.5〜1.6MPa下で熱分解運転状況にする。
  • この工程では、原料中に含まれる金属(鉄、アルミ)等の不燃物を残渣として炉底部から回収する。
    ここで回収した不燃物は、金属としてリサイクルされている。
  • 塩ビを取り除く必要がないので、廃プラ破砕・成形前に手選別等の前処理プロセスを持たないのが特長であるが、反面、大きな金属などが混じっていても取り除けない。この場合、破砕機が止まることになる。
高温ガス化
  • 低温ガス化炉で生成したガス、タール、チャー等は、高温ガス化炉の燃焼室に供給される。
    高温ガス化炉には、酸素とスチームとともに供給され、温度1,300〜1,500℃、圧力0.5〜1.6Mpa下で、熱分解及び部分酸化され、主としてCO、CO2及びH2等を主成分とする合成ガスとなる。
  • 高温ガス化炉の下部では、発生ガスを水を用いて急速冷却(→200〜140℃)しており、これにより、ダイオキシンの再合成を防ぐとともに、発生ガス中に含まれる塩化水素ガスの除去(NaClとして固定)、未燃炭素分、Si、Al等の微粒スラグ分の除去を行っている。
    なお、生成したNaClはソーダ電解設備の原料として利用している。
ガス洗浄
  • 冷却されたガスは、ガス洗浄設備で洗浄される。ここでは、発生ガスの除塵、洗浄が行われる。
    ガス中の不燃物はmg/m3のオーダーとなる。
  • 合成ガス中に含まれるCOは350℃まで加熱され、蒸気と反応させることにより大部分が水素に転化される。
  • その後、プラスチックに混入したゴム類などに由来する硫化物を硫黄として回収する。
    回収した硫黄は事業所内にて硫黄誘導品の原料としてリサイクルされる。
スラグ回収
  • 原料中の灰分は、溶融スラグ化する。
    溶融スラグは炉底部からバッチ的に回収し、路盤材として用いられている。
  • 高温ガス化炉底部で除塵・除去された未燃炭素分と微粒スラグはスラリ形態で連続的に抜き出され、凝集沈殿設備にて沈降分離される。
    また凝集沈殿設備の上澄み液は急冷用水として再使用されるが、一部は廃水として抜き出される。
  • ただし、容器包装プラスチックに含まれる塩ビの量の低下もあり、回収しているNaClの量はごくわずかである。
  • スラグの生成量は投入量に対し1%のオーダーであり、回収したものは路盤材として利用している。
製品ガス供給
  • 製品ガス(水素と二酸化炭素を主体とする合成ガス)は、隣接するアンモニア製造プラントに搬送管を通して供給される。
  • 合成ガスは、メタノール、エタノール、DMEなどにも利用可能であるが、現時点ではアンモニア製造プラントに隣接しているという理由からアンモニア製造に利用されている。
    製品ガスの特性で用途が決定されている訳ではない。
  • EUPでは石炭ガス化プロセスを代替しているのに対し、昭和電工ではナフサを代替しており、後者の方がより高いガス洗浄レベルを求められる。
    EUPの場合は、製品ガス中には0.1〜0.2mg/m3程度の異物が混入しているが、それでも従来プロセスで用いているペトロコークスから得られるガスより良質であるため、受入側であるアンモニア製造プラントでは問題視していない。
  • 従来のアンモニア製造原料はナフサ、石油精製のオフガス、コークス炉ガスなどであった。
    現在はナフサと廃プラのみとなっている。
  • 川崎製造所で使用するアンモニア原料の半分が廃プラ由来。
    アンモニア製造の為のH2の約半分を廃プラで代替している。
    (従来)ナフサ:アンモニア=1:1、(廃プラガス化)廃プラ:アンモニア=195:175。
  • 使用済みプラスチック195t/日からアンモニアを175t/日供給することが可能である。

 

 

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