2009年5月11日号
循環センター 2009年春の一般公開小島恭子
4月18日(土)に毎年恒例の科学技術週間に伴う春の一般公開「春の環境プチ講座」が開催されました。春の一般公開は主に高校生以上を対象として、研究やその成果を講演やパネル展示を通じて紹介するイベント、夏の大公開は幅広い世代の方に向けたお祭りのような賑やかなイベントと、それぞれ趣向を変えて開催するようになってから今年で3年目です。循環センターでは今回、バイオエコ技術研究室の徐室長より「バイオとエコで水をきれいにする」と題した講演を行いました。 講演は、水質汚染や水不足など、水環境をめぐる様々な問題や現状についての説明から始まりました。さらに、水質汚染が引き起こす問題、特に環境や生態系に重大な被害をもたらす有毒アオコについて、多くの写真を用いた解説がありました。中には初めて見て、驚いてしまうような写真もありましたが、視覚的に感じることで、よりはっきりと問題を認識することができたのではないでしょうか。 バイオエコ技術研究室では、その名の通り、有用な微生物が持つ浄化能力を引き出す「バイオ技術」と、自然生態系が本来持っている浄化能力を引き出す「エコ技術」を組み合わせ、様々な研究や技術開発を行っています。この講演では、アオコの発生源となるリンや窒素を除去するために、微生物を使って水処理を行う高度処理浄化槽の仕組みやその効果(2007年3月5日号「排水を毎日きれいにする小さな装置」参照)、水耕植物を活用した水質浄化システム(2008年9月22日号「植物の力で水環境改善!」参照)などが紹介されました。また、単に水を処理するだけでなく、その過程で排出される温室効果ガスを低く抑えるための技術開発を行うことが重要であること、それらの技術を中国等の海外に技術移転することで、水環境の分野で国際協力ができるよう各国が取り組みを始めたことなどの説明もありました。 講演の最後に、家庭でできる水質汚染防止策も紹介されました。生活の中のちょっとした心がけが環境に大きな影響を与えること、一人一人が環境負荷を減らす努力をすることが大切だということが、この講演を通して伝わったのではないでしょうか。 今回、席が足りなくなるほど多くの方に聴講して頂きましたが、写真やイラストを多く用いた説明だったこともあり、最後まで熱心に聴いて頂くことができたのではないかと思っています。講演の後、「専門的な知識がなくても分かりやすかった」との感想もお寄せいただきました。 別会場では、この講演に関連して浄化槽ミニチュアモデルが展示され、来場者の目を引いていました。また、研究内容を紹介するパネルの前には、熱心に説明に耳を傾ける来場者の姿が多く見られました。今年は中学生、高校生、大学生と学生の来場者が多く、「学校でも水処理に関する実験をしてみたいが、どのようにやればよいか」などという質問に研究員がアドバイスをするなど、活発なやりとりがなされていました。一方、来場者の方と話をすることで、自分自身の勉強不足な点を自覚することができ、よい経験になったと話す研究員もおりました。 7月には夏の大公開が開催されます。その時にまた皆さんにお会いできることを楽しみにしています。 |
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