2008年8月11日号
循環センター 2008年夏の大公開山本貴士
国立環境研究所では、科学技術週間のある4月と夏休みのある7月に、研究の成果や活動を所外の皆様に紹介する一般公開を行っています。今年も7月26日に「2008年夏の大公開」として一般公開を行い、多数の皆様のご来場を頂きました。ここでは、循環センターで行った企画や展示を紹介致します。 今年の大公開の目玉として、「トレジャーハント ごみから宝を見つけよう!」と題した企画を行いました。その一つはエコリュックサックに関するものです。「エコリュックサック」とは、一定の量の素材や製品を生産するのに動かされた自然界の物質の量を表すものです(2008年6月9日号「当ててみよう!」参照)。 写真にある120kgの砂利の山は金0.1g、銀25g、鉄15kgのエコリュックサックに相当します。つまり、金をつくるためにはその100万倍の物質が採掘等で動かされている計算になります。ここでは、エコリュックサックの大きさを参加者の方に体験してもらうために、いくつかの金属の中から一つを選んでもらい、その金属資源のエコリュックサックに相当する重さのビー玉をバッグに詰めるというゲームを行いました。 同時に、解体したパソコンや携帯電話、ゲーム機などを展示しました。身の回りの製品にどのような金属が使用されていて、これらを生産するのに大量の資源が必要になるのだということをご理解頂けたのではないかと思います。 また、循環センターでは、バイオマス由来の廃棄物から水素を回収する研究や、トラップグリース(飲食店や給食センターの厨房排水から回収される品質の低い廃油脂類)からバイオディーゼル燃料を回収する研究を行っています。水素を利用する燃料電池自動車の模型を走らせる実演や、トラップグリースやそれから得られたバイオディーゼル燃料の展示も行い、好評を得ました。 当オンラインマガジン「環環」では、循環センターでの研究を紹介していますが、今回はその記事を読んで穴埋め問題に答えるという「環環検定」も行いました。回答数に応じて1〜3級の認定が受けられ、中には大人に混じって1級の認定を受ける小学生の参加者もいて、角帽をかぶって記念撮影に収まっていました。 このような企画の他に、「最終処分プラント室」、「熱処理プラント室」の展示を行いました。最終処分プラント室では、埋立処分場の汚水を浄化するための膜処理という技術の紹介や、処理された後の水の安全性を試験するための生物を展示しました。循環センターでは、埋立処分場から排出される温室効果ガスの一つであるメタンガスの量を調べるための調査・研究を行っており、埋立処分場でメタンの噴出ポイントを調べるのにレーザーメタン計を使用しますが、メタンの入った袋を見つけるゲームを通じて、メタン計測を実体験して頂きました。 熱処理プラント室では、実際の廃棄物焼却炉を同様の構成のまま実験室サイズにスケールダウンした小型焼却炉で、ダイオキシン等の有害物質の生成や分解挙動を調べる実験を行っています。今回は、その焼却炉の運転の状態を記録したビデオ展示の他、焼却灰を高温で溶かして得られた溶融スラグやそれから作った舗装やブロックを展示し、溶融スラグを資源として使用する時に気をつける点などについて説明しました。 今年の大公開では、主に若手研究者の発案による新しい企画や展示を行い、多くの皆様の来場を頂くことが出来ました。今後も、私たち循環センターの研究や活動を分かりやすく紹介していきたいと考えておりますので、皆様のご意見、ご感想をお待ちしております。 |
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