前回は、スウェーデンの大学の状況を紹介しましたが、今回は欧米でのごみ収集事情を紹介します。海外に住まれたことがある方はご承知かと思いますが、日本で普通だと思っていることが、海外では全然普通でなかったりします。欧米のごみ収集事情はどのような状況なのでしょうか。
その前に、なぜごみ収集事情なのか、なぜリサイクルなどの先進的な取組でないのかをお話したいと思います。この約10年で日本のリサイクル制度は大きく進展しました。そのなかで、生産者に一定の責任を与えて、その製品についてよく知っている生産者が廃製品の処理について責任を果たすという考えが広まってきています。それでは、全部、生産者にごみ処理を委ねるのが将来の姿なのでしょうか。おそらく、それは違うと思われます。消費者がそれぞれの廃製品を生産者に返すのは大変ですし、生産者にとっても独自の収集システムが併存することになり非効率になってしまいます。ごみの少ない、リサイクルしやすい製品設計を生産者が意欲的に行う動機付けを確保しつつ、これまでごみの収集や処理を担ってきた自治体の役割をどのように位置づけて再構築していくかが大きな課題となってきます。特に、ごみや資源を収集するところの役割をどのように分担していくかは一つのポイントになると思われます。
さて、難しい話はこの位にして、ごみ収集に関連する写真をみてみましょう。写真1のごみ箱は、色別に非常に分かりやすくデザインされています。右側のごみ箱は欧米ではよく見かける路上に設置するタイプのものです。いつでもごみを捨てることができる一方で、他のごみが混ざりやすくなります。混ざることはあまり気にせずに、資源ごみである缶、びん、PETボトル、紙パックを一括収集し、後で人手で分ける地域もあります。誰に分別してもらうかはいろいろであることが分かります。ニューヨーク・マンハッタンでは、分別よりもポイ捨てをなくし街をきれいにすることに重きが置かれて、ほとんどの交差点にごみ箱が置かれていました(分別用のごみ箱も置かれているところは比較的少ない)。
欧米では、飲料容器に預り金をかけて、返却するとそのお金が戻ってくるというデポジット制度を導入している国や地域が多いです。飲料容器ごみの返却の仕方もいろいろあり、機械に投入したり、回収専門店の店員へ返却するという方法があります(写真2)。モノの分別を人手で行うか機械で行うかは大きな違いがあり、雇用にも差異が生じます。
電池、塗料、蛍光灯といった有害ごみの収集にも違いがあります。欧米では地域の回収センターに持ち込むところが比較的多いですが、日本でも見られる店頭での回収ボックスもみかけることができます。ある回収センターでは、残っている塗料をリユース品として提供していました。確かに、塗料は余りやすいですよね。賢い取組の一つだと思います。