循環・廃棄物の豆知識
2014年1月号

破砕選別のしくみ

佐藤 昌宏

破砕選別の目的は、建物などを新築・改築・解体するときに発生する建設混合廃棄物などから、金属などの素材原料、紙や木、プラスチックなどの代替燃料、再生砕石など再生資材として利用できる資源物、焼却によって減量できる可燃物などを分離することで、廃棄物の再生利用を促進し、最終処分場へ埋め立てる量を少なくすることにあります。建設混合廃棄物に含まれるそれぞれの廃棄物の大きさや重さはばらばらで、複数の素材が複合したものもあります。

このような廃棄物から資源物などを効率よく取り出すために、主に以下の3つの方法を組み合わせて破砕選別を行います。破砕選別の方法にはそれぞれ特徴があるので、どのような性状の混合物から何を目的として選別するかによって、選別方法の組み合わせ、順番や回数を変えます。

① 重機選別、手選別
全工程の最初の段階として重機や人の手による選別が行われます。まず、重機によって柱などの人では持てない大きな単体の資源物などを取り除いた後に、手選別で目につく資源物や破砕ができないもの、また、ボンベなどの危険物やアスベスト含有建材等の有害物を取り除きます。土砂などが多く混ざっている場合には、選別に入る前に、ふるい選別を行う場合もあります。
② 破砕イラスト:しげる
破砕は、後段の選別のために、圧縮、せん断(ハサミ)、衝撃(ハンマー)の力で、廃棄物の大きさを小さくし、複合物を単体に分離するために行われます。廃棄物を構成する素材の種類によって破砕方法は異なり、例えば、硬くもろいコンクリートやガラスは圧縮力や衝撃力で、やわらかい廃プラスチック類はせん断力で破砕します。
③ 機械選別
機械選別では、破砕によって小さくした廃棄物を、大きさ・形状や磁気的性質、比重の差などを利用して分離します。

ふるい選別では、いろいろな目開きのふるいを振動(振動スクリーン)または回転(トロンメル)させ、廃棄物を投入して、ふるいを通過するものと通過しないものとに分離します。最初の段階での土砂の除去や、破砕した木くずや廃プラスチックからフィルム状や板状のものと粒状のものの分離、破砕したコンクリートがらから再生砕石の粒度調整(例えば40㎜以下の粒径に揃える)、また、後段の機械選別に適した粒径に揃える前処理のためなどに使用します。

磁気選別では、磁石に鉄くずを引き付けて選別します。アルミや銅等の非磁性金属の選別には、導電体の磁界通過時の渦電流による反発力を利用した渦電流選別が用いられます。

風力選別では、比重の異なる廃棄物が混ざっているとき、比重の軽いものだけを風で浮かせ、より遠くへ飛ばすなどして選別します。ただし大きさが異なるとうまく分離できないため、破砕やふるい選別で大きさを揃えた後で用いる必要があります。主に破砕した混合物からフィルム状のプラスチックや紙を分離するために使われています。

図 比重選別の例(エアテーブル) 図 比重選別の例(エアテーブル)

比重選別では、風力選別と同じように密度の違いを利用して、重量物と軽量物を分離します。ここでは、一例として送風と振動によって分離するエアテーブルを紹介します。図に示す通り、傾斜させた板に傾斜方向の振動を与え、板の底部から空気を流します。重量物のように摩擦力が大きければ下方に落下しませんが、密度の小さい軽量物は底部からの空気で摩擦力が低下し、下方に落下します。一方で、振動によって重量物は上方に移動します。実際には風力選別では分離できない、木くずや廃プラスチックをコンクリートくずやガラス等の重量物から選別するために使用します。

以上の方法を組み合わせて資源物等の目的のものを選別した後には、「ふるい下残さ」といわれる細粒分が残ります。ふるい下残さには土砂だけではなく、小片の木くずなどの有機物も含まれることがあるため、検査をして、熱しゃく減量5%以上のものはセメント原料として利用したり、管理型最終処分場へ処分します。

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