東日本大震災では、およそ1600万トンもの災害廃棄物と、およそ1000万トンもの津波堆積物が発生しました(両者を合わせて「災害廃棄物等」といいます)。そこで、リサイクルや最終処分を適正に進めるために、災害廃棄物等の仮置き場では、分別処理が進められました。分別処理を通して、災害廃棄物等のうち、重量割合でおよそ1/3は土砂で、およそ1/3はコンクリート破片であることが明らかになりました。これらは、十分に分別処理等をすることによって、建設分野での利用が可能となります。震災からの復興に向けて、多くの資材が必要なことから、災害廃棄物等から再生された"復興資材"として、有効活用を図ることが大切です。
復興資材のうち、コンクリート破片は破砕し粒度を調製することでコンクリート再生砕石として、道路の路盤材などに良く使われました。一方、土砂は、分別の過程でどうしても分けきれなかった細かい木ぎれなどが含まれていたり(写真1)、津波堆積物の場合はもともと海底にあった時に含んでいたと思われる成分が土壌環境基準を越える可能性があるということがネックとなって、リサイクルがスムーズに進まない場面がしばしば見受けられました。
資源循環・廃棄物研究センターでは、復興事業を進める際には、災害廃棄物等から再生した資材をできるだけリサイクルすべきと考えました。このことによって、土や砂を新たに採取することによる自然環境の改変を少しでも減らせますし、最終処分される廃棄物の量も減らせるからです。そこで、その効果を定量的に評価して根拠となるデータを整えました。そして、(公社)地盤工学会に、復興資材の有効活用を進めるための委員会を設置して、2014年3月、"提言"を発信しました(参照URL)。また、木くずなどの混入や土壌環境基準に設定されている成分の溶出が懸念されるレベルではないことを、実際に盛土を建設して実証しました。さらに、2014年10月には、復興資材を有効活用するためのガイドラインを発表しました(参考URL)。
災害廃棄物や津波堆積物の分別処理とリサイクルは福島県の一部を除いてほぼ完了しつつありますが、先述のような理由から、まだ使い道の決まっていない分別土砂も残されていると聞いています。また、日本は台風、火山噴火、地震といった様々な災害に繰り返し見舞われていることから、今後発生する災害廃棄物のリサイクルを目指そうとする際に、今回発表した"提言"や"ガイドライン"が役立ってくれることを期待しています。
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