循環・廃棄物の豆知識
2016年5月号

ごみ焼却・溶融施設の種類

藤原 大
図 一般廃棄物の焼却施設(溶融施設含む)の割合 図 一般廃棄物の焼却施設(溶融施設含む)の割合1

一般廃棄物(いわゆる都市ごみ)のうち、可燃ごみの多くは焼却施設で800~1000℃の温度で燃やされて灰になります。また、さらに高温の千数百℃でごみや灰を溶かす溶融施設もあります。焼却や溶融施設にはどのような種類があるでしょうか。右の図は一般廃棄物の焼却(溶融)施設が1日に焼却処理できるごみの量(処理能力)の処理形式ごとの割合です。日本で主流となっているのはストーカ式焼却炉という形式です。ストーカ― (Stoker) とは「給炭機」のことで、元々は蒸気機関のボイラーに燃料である炭を供給する装置でした。ストーカ式焼却炉では火格子の上でごみを少しずつ送り出しながら燃やします。火格子上でごみが撹拌されるので安定して燃やすことができます。焼却炉の底からは燃えがら(主灰)が排出され、巻き上がった軽い灰や排ガスの凝集によって析出する塩化ナトリウムや塩化カリウム、排ガスの中和に使用される消石灰などがばいじん(飛灰)として排ガス処理設備で回収されます。ストーカ式焼却炉は技術的にも確立されており安定運転が可能です。次に多いタイプは流動床式焼却炉です。円筒形の炉の中で高温の砂が流動していて、そこにごみを投入してすばやく燃やします。生ごみのような水分の多いものから、廃プラスチックなどの高発熱量のものまで安定して燃やすことができます。大きな灰は砂の流動により小さくなるので、灰は基本的にばいじんとして回収され、灰の性状はストーカ式焼却炉とは違ったものになります。また、固定床式と呼ばれる焼却炉は小型のため離島など人口の少ないところで活躍しています。

溶融施設では温度が高い分エネルギーや耐火物などのコストが高くなってしまいますが、溶融は焼却に比べると燃え残りが少ないため、近年は最終処分場の残りの容量が減少していることなどを背景に増えています。シャフト式ガス化溶融炉は、ガス化と溶融が一体になっています。鉄鉱石から鉄を作るときに使用される高炉の技術を利用した炉で、最終的に1600~1800℃の高温になります。シャフト式ガス化溶融炉では、副資材としてコークスや石灰石などが必要になりますが幅広い種類のごみを処理できます。溶融施設からは灰ではなく溶融スラグが排出され、スラグを循環資材として有効利用することで最終処分場が延命できます。次に、流動床炉と旋回溶融炉を組み合わせた流動床式ガス化溶融炉を紹介します。これは流動床炉でごみをガス化させ、ごみの持つエネルギーでごみを溶融する施設です。流動床炉からは酸化していない鉄とアルミを分けて回収することができるので金属類の再利用に有効です。ガス化を流動床炉ではなく回転炉(ロータリーキルン)で行う形式もあります。

このように焼却・溶融炉には色々なタイプがあります。灰やスラグのリサイクル、安定運転、電力や熱の有効利用、多様なごみ質への対応など、時代の流れや地域のニーズに合わせて焼却炉は選ばれており、技術的にも日々進歩しています。焼却炉形式の違いは放射性物質や重金属などの有害物質の挙動、灰やスラグの再利用方法にも影響を与えます。私たちは、それぞれの施設の灰やスラグの特徴や、焼却炉の中で何が起こっているのかを把握するため日々研究を進めています。

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