〔株式会社市川環境エンジニアリング〕 |
訪問日: 2005年11月15日 |
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◆ 同社ウェブサイト |
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◆ プロセスフロー |
株式会社市川環境エンジニアリングへのヒアリング調査及び工場見学に基づき整理したプロセスフローを次図に示す。 |
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図 (株)市川環境エンジニアリング行徳工場におけるRPF製造プロセスのフロー |
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◆ ヒアリングメモ |
<工場の概要>
- 行徳工場では、1986年に通商産業省(現 経済産業省)の国庫補助を受けて固形燃料化実証プラントを建設し、稼働している。
当初は紙類を中心とした固形燃料化を行っていたが、時代の変化とともに増加してきた廃プラスチックにも対応し、2003年5月には今後の廃プラスチックの増加とリサイクル処理の需要を見込みRPF化処理プラントに全面改築した。
- プラスチックの材料選別機として、近赤外線を照射し、波長の違いを検知する「塩ビ自動選別機」を導入している。
<原料の調達、受入れ>
- 施設としては、120t/日の廃棄物を受け入れることが可能である。
一般廃棄物(以下、一廃)と産業廃棄物(以下、産廃)の両方を受け入れている。
- 一廃は、栃木、千葉、東京から主に調達している。
これらは容器包装プラスチックではなく、「不燃ごみ」や「プラスチック類」として分別収集されたものである。
- 廃プラスチックは、以下のように分けて受け入れている。
品名 |
受入条件 |
廃プラ@ |
塩素、金属を含まないもの(主に産廃であり、すべてRPFの原料となる) |
廃プラA |
少量の金属と塩素を含むもの |
廃プラB |
破砕困難物を含むもの |
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- RPFに対する需要は伸びているものの、質の良い廃プラスチックの多くは中国に流出しており、今後の原料調達は困難になると思われる。
- 原料として、試験的に農業用ポリエチレンを受け入れた。RPF原料としては良品だが、付着している土の埃で作業環境を良好に保つのに苦労している。
- 粗大ごみとして収集されたもののうち、上表の廃プラ@にあたるものを分別して行徳工場に引き渡している自治体もある。
- 水分が10%以下で、塩ビ・金属を含んでいなければ、微粉砕されたフレーク状の廃プラスチックでも受け入れ可能である。
- プラスチックの他に、RPFの成型のために木くず、紙くずを投入している。
木くずは近隣のチップ化業者から購入しているが、将来的に不足する可能性が高く、対策を検討中である。
- 木くずの原料として木材パレットを利用しようとした場合、廃パレットは一廃にあたるため、複数の自治体間での調整が必要となり、手続きが煩雑になると思われる。
<破砕>
- 投入原料を1次破砕機Aで60mm、1次破砕機Bで40mmに破砕した後、塩ビ自動選別機での材料選別を行っている。
材料選別、金属除去の後、2次破砕機で再び30mmに破砕している。
- 上表で廃プラ@に分類された原料と、木くず・紙くずは2次破砕機から投入している。
- 異物として大型金属(ハンマー等)が混入しているケースがあるため、破砕刃は比較的やわらかいものを使用している。
<プラスチックの材料選別、金属除去、残渣>
- 塩ビ自動選別機は、近赤外線を照射し、波長の違いを検知して、塩素を含んだ廃プラスチックを空気で吹き飛ばす仕組みとなっている。
- 塩ビ自動選別機では、黒色の廃プラスチック、11mm以下の廃プラスチック、積層材の選別は難しい。
また、ラップ類が弁当容器等に入っているケースも選別不可能である。
- ハム等のパッケージに使用されているPVDCは塩素量が多く、処理に苦慮している。
- すべての塩化ビニルを塩ビ自動選別機のみで除去するのは難しい。
塩素含有濃度の高い廃プラスチックは、他の廃プラスチックと希釈して用いるのではなく、原料搬入時から、できるだけ不純物の少ない原料を受け入れるようにしている。
- 金属検知機では、ステンレス、アルミ、銅等を除去している。
除去された金属にはプラスチックが混入・付着しているため、有価で引き渡すことができない。
- 金属検知機の感度を上げ過ぎると、金属だけでなく水にも反応してしまうため、一定以上の感度に設定することができない。
- 投入した原料のうち、材料選別や金属除去により、3割は残渣となる。
残渣は焼却、または埋め立て処分されるが、最近はほとんどが焼却処分されている。
<輸送>
- RPFの輸送は、主に船を使用しているが、最近は船の輸送コストが上昇しており、帰り便をうまく使えないか検討している。
- RPFは比重が軽く、商品の輸送コストが高い。
1m3あたりの積載重量は約300kgであり、10t車に6〜7tしか積載できない。
<製品の品質、販売>
- 製造しているRPFの大きさは、長さ約50mm、直径約30mmである。製品中の塩素濃度を次表に示す。
塩素濃度 |
主な用途 |
0.2%以下 |
発電ボイラー |
0.8%以下 |
セメント原燃料 |
2%以下 |
セメント原燃料 |
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- RPFの発熱量は、6,000kcal/kgと、7,000〜7,500kcal/kgとの2種類がある。
含水率は5%以下である。
- 塩素の含有濃度が0.8%以上のRPFについては、投入するセメント製造施設の脱塩装置の能力に応じて使用してもらっている。
- RPFに塩素が含まれる場合、使用先施設では付属設備(配管等)の腐食が問題となる。
なお、使用先でのダイオキシンの発生は確認されていない。
今後は、塩ビの選別技術やボイラー能力の向上により、塩素に係る問題は解決されるのではないかと考えている。
- RPFを投入するボイラーは、流動床ボイラーである。
- RPFの灰化率は、2.数%である。
- RPFは、セメント会社、製紙会社、石膏会社の計5箇所に納入されている。
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