資源循環・廃棄物研究センター
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プラスチックの処理・リサイクル技術
自治体での前処理 [技術の概要]
  

 

市町村におけるプラスチック製容器包装の分別収集実績
市町村の前処理プロセスの概要
分別基準適合物の品質レベル

 

市町村におけるプラスチック製容器包装の分別収集実績
  • 容器包装リサイクル法に基づくプラスチック製容器包装の分別収集実施市町村数および分別収集量等の実績は以下に示すとおりである。
    平成16年度の分別収集実施市町村数は1,757であり、全市町村の5割強が分別収集を実施している。
    また、分別収集実績量は471千tであり、分別収集がスタートした平成12年から5倍近くに増加している。
  • また、分別収集計画によれば、平成22年度までには全市町村の8割を超える約2,000市町村が分別収集に取り組み、その収集計画量は100万トンを超える見込みとなっている。
表 プラスチック製容器包装の分別収集および再商品化等の実績


年度
分別収集実績 再商品化量
(トン)
指定法人の引取実績
実施
市町村数
実施率
(%)
実績量(トン) 引取
市町村数
引取量(トン)
H12
881
27.4
100,810
77,568
435
67,080
H13
1,121
34.8
197,273
180,306
673
168,681
H14
1,306
40.4
282,561
268,640
815
259,669
H15
1,685
52.4
401,697
384,865
1,222
368,005
H16
1,757
54.6
471,488
455,487
1,317
446,912

※実施率: H14年度の市町村数3,218((財)地方自治体情報センター調べ、東京23区の各区を一自治体としてカウント)を母数とした。

※再商品化量: 再商品化計画に基づき再商品化を行う事業者に市町村が引き渡した量(分別収集実績量から市町村の選別処理により異物を除いた量)

※分別収集実績量、再商品化量には市町村独自処理量が含まれる。

出典:環境省、(財)日本容器包装リサイクル協会

 

  • 上表の分別収集実績量から再商品化量を差し引いた量が、市町村の選別処理により発生した異物であると考えられるが、平成16年度で分別収集量の約3%が異物となっていることがわかる。

 

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市町村の前処理プロセスの概要
  • 市町村における前処理プロセスについては、厚生省水道環境部リサイクル推進室(当時)が発行した「プラスチック製容器包装分別収集の手引き」に分別収集した容器包装の中間処理および保管方法が整理されている。これによれば、中間処理の方法は、プラスチック製容器包装の収集方法、収集容器(袋、コンテナ等)、収集量、作業スペース等により異なり、設備の規模は収集量に基づいて決定されるとされている。
  • 中間処理工程については、「受入」「破袋、コンテナからの取り出し」「選別」「圧縮梱包」の4つに区分することができる。
表 プラスチック製容器包装の中間処理工程の概要
工程 概要
受入 収集車から荷下ろしする際に生ごみ等腐敗性物質の混入をチェックし除去。
破袋、コンテナからの取り出し 袋で収集する場合、異物、不適物等を除去するため、袋を引き裂き内容物を取り出して、続いて行われる選別作業を容易にするもの。
処理量が少ない場合(約500t/年、2.5t/日まで)には、人手によりカッターナイフ等で袋を破ることも可能で、処理量が多い場合には破袋機が使用される。
コンテナで収集した場合には、選別用の作業台または選別コンベヤへの供給用の設備に取り出す。
選別 異物、不適物をピックアップして除去。
異物、不適物が多い場合には、プラスチック製容器包装をピックアップし、異物、不適物を残す方法もある。
手選別はコンベヤ上の対象物を人手により分離するもので、安全性、作業性を重視し、かつ作業環境を十分考慮した構造(換気、空調など)とすることが必要。
圧縮梱包 圧縮して減容し、速やかに梱包。
梱包のバンドはPPまたはPET製あるいはスチール製のものがあり、細かなものまで梱包する場合には多方向からのバンド掛けをすることがある。
バラケによる飛散を防ぐために、圧縮後にフィルムで巻くこともある。
出典:厚生省水道環境部リサイクル推進室「プラスチック製容器包装分別収集の手引き」(2000)

 

 

  • これらの中間処理工程に関し、処理量、排出ルールの周知徹底度合いに応じて4つの作業フローの例が示されている。
表 プラスチック製容器包装の受入から梱包までの作業フロー例
表 プラスチック製容器包装の受入から梱包までの作業フロー例

出所:厚生省水道環境部リサイクル推進室「プラスチック製容器包装分別収集の手引き」(2000)

 

 

  • また、保管施設の要件として、以下の3点が挙げられている。
表 プラスチック製容器包装の保管施設の要件
要件 内容
1)広さ 10t車一台分に相当する容量のものが保管できる広さが必要。トレイと同一施設で保管する場合には、各々を区別、整理して保管できることが必要。梱包品の搬出に際し、十分な作業スペース(荷役スペース)を有することが必要。
2)防火対策 梱包品は消防法に定める「指定可燃物」に該当するため、保管量に応じて法に基づく要件を満たすことが必要。
3)水濡れ・汚れ対策 保管中の雨水による水濡れ防止、砂ぼこり等の付着防止、飛散防止のため、屋根、囲い等が整備されている施設での保管が必要。雨水等の跳ね返りによる土砂の付着を避けるためにもアスファルト舗装またはコンクリート舗装が適切。

出典:厚生省水道環境部リサイクル推進室「プラスチック製容器包装分別収集の手引き」(2000)

 

 

  • その他、中間工程で使用する作業用機材として、ショベルローダー、フォークリフト等が挙げられている。

 

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分別基準適合物の品質レベル
  • 市町村によって分別収集される容器包装については、下記の「分別基準」を満足する必要がある。
    また、分別基準を具体化し、品質向上を図る上での目標とすることから、(財)日本容器包装リサイクル協会では、 「市町村からの引き取り品質ガイドライン」を定めている。

◆分別基準(平成7年厚生省令第61号、平成7年12月14日、平成11年厚生省令第65号、平成11年6月15日改正)

  • 原則として最大積載量が1万キログラムの自動車に積載することができる最大の容量に相当する程度の分量の物が収集されていること。
  • 圧縮されていること。
    ただし、白色の発泡スチロール製食品用トレイのみの場合にあっては、この限りではない。
  • 原材料として主として他の素材を利用した容器包装が混入していないこと。
  • 容器包装以外の物が付着し、または混入していないこと。
  • 飲料またはしょうゆ用のPETボトルが混入していないこと。
  • プラスチック製のふた以外のふたが除去されていること。
  • 白色の発泡スチロール製食品用トレイのみの場合にあっては、洗浄され、乾燥されていること。

 

◆分別基準の運用方針(平成11年7月8日付 厚生省リサイクル推進室長通知)

@発泡スチロール製食品用トレイの取り扱い
  • 「その他プラスチック製容器包装」として「白色の発泡スチロール製食品用トレイ(以下「白色トレイ」という。)」だけの分別収集を同法に基づいて行うことができる。
  • 白色トレイとは、発泡ポリスチレンシートをトレイ状に成形した白色のものに限られ、カップ麺や持ち帰り弁当の発泡スチロール製容器は含まれない。
  • 白色トレイは、ペレット等のプラスチック原料を得る材料リサイクルを優先的に実施する運用を行うが、白色トレイの分別収集量が、材料リサイクルの再商品化能力を越える場合は、高炉原料化(高炉で用いる還元剤を得ること)、油化等の材料リサイクル以外の方法で再商品化されることとなるので、市町村にあってはこの点十分に承知されたい。
A保管単位
  • 通常10トン車に積載される程度の量が収集されればよく、実際の運搬に何トン車を使用するかは問われないものとして運用される。
B保管形態
  • 「圧縮」とは、保管、運搬時の効率性を確保する観点から、ベーラー等の一般的な減容機で圧縮され、結束または梱包等により形態の維持、小容器類の飛散対策が図られていることをいう。
    なお、再商品化施設での解体、異物除去が困難となることから圧縮後、表面を熱溶融して固着する方法は認められない。
  • 圧縮にあたっては、圧縮品の形状・寸法は規定しないが、再商品化施設での圧縮品の解体性を考慮し、かさ比重0.25〜0.35t/m3程度に圧縮することが望ましい。
    このため、圧縮品の寸法(容積)と重量を計測することにより、概ね所要のかさ比重となるよう圧縮圧力の調整を行われたい。なお、再商品化施設で解体できることが確認できれば、かさ比重をさらに上げることが可能である。
  • また、再商品化施設での異物除去が困難となることから、破砕、粉砕を行うことは認められない。
  • 白色トレイのみを分別収集する場合にあっては、圧縮、破砕、加熱減容等の減容は行わずに白色トレイのみをそのままプラスチック製の袋(ポリ袋等)に詰めて保管すること。
C異物の取り扱い
  • プラスチック製容器包装の場合は、分別基準通りに分別収集、選別しようとしても「容器包装」以外のプラスチック製品やそれに付随する異物が混入するおそれがあることから、市町村にあっては、住民に分別排出の徹底を求めるとともに、粗選別(目視での土、石、ビン、紙類、金属類、容器包装でないプラスチック製品、生ごみ等の除去)を実施されたい。
  • 白色トレイのみを分別収集する場合には、材料リサイクルを前提としていることから、異種材質品、着色品が混入していないこと、及び白色トレイに貼ってある紙類、フィルム類が取り除かれていることを徹底されたい。
D食品残渣等有機物の取り扱い
  • 保管時の衛生対策から、食品残渣等の付着がないよう洗浄及び拭き取る等で容易に付着物を除去できるものについては、付着物を除去した後に排出するとともに、付着物により汚れているものについては排出しないよう住民を指導されたい。
  • 白色トレイのみを分別収集する場合にあっては、材料リサイクルを前提としていることから、住民に洗浄、乾燥の徹底を周知されたい。

 

◆プラスチック製容器包装の引き取り品質ガイドライン

平成11年6月21日

 

平成12年度市町村からの引き取り品質ガイドライン(プラスチック製容器包装)

このガイドラインは、再商品化事業者が分別基準適合物の再生処理にあたり、市町村から引き取る際の品質の目標を示します。平成12年度については、下記の基準を用います。

 

1.プラスチック製容器包装

 

(1)引き取り形態

分別基準にあるとおり、「圧縮」されているもの(以下、ベールという)です。

「圧縮」とは、単品で圧縮されていることではなく、保管、運搬時の効率性を確保する観点から、一般的な圧縮機(ベーラー)で圧縮され、結束またはこん包等により形態の維持、小容器類の飛散対策が図られていることをいいます。

 

(2)ベールに求められる性状

安全性:
運搬や保管・移動作業中に荷崩れがないこと
なお、ベールの安定性のためには、ボトル類にあっては蓋を外して圧縮を行う方が合理的です。
衛生性:
ベールからの臭気の発生がないこと
腐敗性有機物が付着、混入していないこと
バラケ性:

再商品化施設での解体が容易であること
(かさ比重0.25〜0.35t/m3程度を当面の目安として下さい。)

 

(3)ベールの寸法、重量、結束材

ベールの寸法はトラックへの積載効率や、標準パレット(1100mm×1100mm角)への適合性から、次の3種類の寸法(これらに準ずる)を推奨します。

 

寸法(mm)* 重量(kg) 結束材
@600×400×300 18〜20 PPまたはPETバンド
A600×400×600 36〜50 同上
B1000×1000×1000 250〜350 同上またはスチールバンド

*寸法の600×400mm、1000×1000mmはプレス金型の寸法を示します。
実際のベールの寸法はこれより少し大きくなります。

*「推奨」ですから、ローリングタイプのベールを排除するものではありません。

 

 

(4)ベールの品質基準(目標)

低コストで、高品質の再商品を得るためには原料となるベールの品質がよくなければなりません。

目標は次のとおりです。


項 目 目標(重量%) 備 考
@容器包装プラスチック 90%以上
A飲料、しょうゆ用の
PETボトル
混入していないこと
B他素材の容器包装 混入していないこと 金属、ガラス、紙製等の他の素材の容器包装が混入しないようにする
C容器包装以外の
プラスチック
原則として、混入していないこと バケツ、洗面器、カセットテープ、懐中電灯等の容器包装以外のプラスチック製が混入しないようにする
D上記以外の異物 混入していないこと 刃物、容器以外のガラス・金属、布、陶磁器、土砂、食物残渣(*)、生ごみ、木屑、紙、皮、ゴム等の異物が混入しないようにする
E水分 雫が垂れないこと

(*)分別基準の運用方針では食品残さ等有機物の取り扱いとして「保管時の衛生対策から、食品残渣等の付着がないよう洗浄及び拭き取る等で容易に付着物を除去できるものについては、付着物を除去した後に排出するとともに、付着物により汚れているものについては排出しないよう住民を指導されたい。」とあります。

 

 

2.白色の発泡スチロール製食品トレイ

(省略)

 

  • 指定法人である(財)日本容器包装リサイクル協会では、前記ガイドラインに基づき、ベール品の品質調査を実施している。
  • 評価は390市町村を対象に、外観目視、かさ比重、プラスチック製容器包装比率、危険品の混入、医療器具の混入の5項目について実施された。
    品質評価の結果ならびに総合判定基準は以下に示すとおりである。
  • 調査結果を見ると、総合評価で分別基準適合物が90%以上のAランクは124市町村(32%)、85〜90%のBランクが137市町村(35%)、85%未満のDランクが128市町村(33%)となっている。
図 ベール品質評価結果
図 ベール品質評価結果

(注)調査はこの他に「危険品の混入」「医療品の混入」を加えた5項目について行い、「危険品の混入」(Dランク)が9市町村、「医療品の混入」(Dランク)が2市町村あった。


 

  • なお、次表に示すとおり、外観目視評価、かさ比重評価、容器包装比率評価の各項目について、それぞれ評価した結果から下記のA、B、Dランクが決定されることになる。
表 ベール品評価結果の総合判定
Aランク 全ての評価項目がA評価にチェックされ、かつ、「医療廃棄物」・「危険品」の混入がないもの。

→再商品化に支障がないので、引き続き品質の維持をお願いする。
Bランク チェックされた評価項目がA区分とB区分が混在し、かつ、「医療廃棄物」・「危険品」の混入がないもの。

→再商品化に若干の支障が生じる場合があるので、品質向上をお願いする。
Dランク 全ての評価項目のうち、最低評価としてDランクが1項目以上含まれるもの。
(ただし、「医療廃棄物」・「危険品」の混入のいずれかがあった場合は、他の評価項目がAまたはBであっても、総合判定はDランクとする)

→著しく分別規準から外れているので、再商品化に相当の支障をきたす可能性がある。改善計画を立てて、これに基づき品質の向上をお願いする。また、改善のための計画の提出を求めます。

出典:(財)日本容器包装リサイクル協会「再商品化ニュース」、No.22(2003)

 

  • また、プラスチック製容器包装リサイクル推進協議会では、平成13年度における各市町村の指定法人引き取り申込数量を市町村の人口で割った数値を基に、市町村の分別収集状況について考察している。
  • 同協議会の試算したプラスチック製容器包装の年間排出量は約15kg/人であり、汚れのあるものや分別収集への協力度等を勘案すれば約10kg/人となると推計している。この水準を上回る自治体は次表のとおりである。
表 分別収集が不適切であると考えられる自治体数
一人あたりの年間排出量 自治体数
10kg〜15kg/人・年 39自治体
15kg〜25kg/人・年 24自治体
25kg〜50kg/人・年 7自治体

出典:プラスチック製容器包装リサイクル推進協議会HP

 

  • 分別収集量が上回った要因として、同協議会では以下を挙げている。

    1. プラ容器包装以外の対象外プラが混入したまま家庭から分別排出される数量を指定法人に引取申込をした
    2. プラ容器包装以外の事業系一般廃棄物のプラも混ぜて指定法人に引取申込をした
    3. 全ての家庭プラゴミの中から対象外プラや異物を除く選別が不十分のまま、残りを指定法人に引取申込をしてしまった
      (約20%の自治体がこの分別方式)
    4. 1.と2.、或いは2.と3.の混合形態で、指定法人に引取申込をした

 

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