2010年9月6日号
GC-MSとLC-MS鈴木 剛
「GC-MSやLC-MSって?」となる人が多いかもしれません。今回は、「はかる」(2007年3月19日号「はかる」参照)ために使用する特殊な機器のおはなしです。 GC-MSやLC-MSとは、化学物質の種類や濃度を測定する数ある分析機器のひとつで、その名の通り、GC(Gas Chromatography:ガスクロマトグラフ)あるいはLC(Liquid Chromatography:液体クロマトグラフ)とMS(Mass Spectrometry:質量分析計)を連結した複合型の分析装置のことで、代表的な質量分析法です。測定対象とする化学物質を、GCあるいはLCで測定を妨害する他の成分から分離して、MSで検出するのが、大まかな分析の流れです。 GC-MSとLC-MSは、お互いの特性を考慮して使い分けられています。GCでは装置に導入した化学物質を高い温度で気化してあらかじめ成分の分かっている移動相のキャリアガスと共に気体としてカラムに導入しますが、LCでは化学物質を溶離液に溶かしてカラムに導入します。GC-MSは気化し易く熱で分解しにくい化学物質の測定に使われますが、それを補うように気化し難い、あるいは熱で分解してしまう化学物質の測定にはLC-MSが使用されています。使用する分析装置によって得手不得手があるので、新しい化学物質を測定対象とする際は、2007年9月18日号「はかることを評価する」で記述しているように、その妥当性を評価することが大切です。 当センターでは、カーテンやじゅうたんなどの繊維製品、テレビやパソコンのケーシング(外箱)などのプラスチック製品、一般家庭やリサイクル施設などから採取した埃など、様々な試料に含まれる「難燃剤」(2006年12月4日号「難燃剤」参照)を始めとした化学物質の種類や濃度をこのような分析装置を使用して調べています(2010年9月6日号「身の回りの製品に含まれる化学物質」参照)。 |
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