循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 循環・廃棄物のまめ知識
2007年3月5日号

生活排水

桂 萍

 生活排水は、私たちの炊事、洗濯、入浴等の生活に伴い排出される水で、環境への汚濁負荷割合が高い液状の廃棄物です。特に、湖沼・内湾・内海などの外部との水の交換が少ない水域では、高度経済成長期以来の都市化により自然がもつ本来の自浄能力が低下している事情もあり、 現在でも、生活排水に起因する水質汚濁(富栄養化などの問題)が生じやすい状況にあります。このようなことから、生活排水をはじめとした液状廃棄物対策は非常に重要であり、これまで特に有機汚濁物質を対象として対策がなされてきました。

 さて、良く耳にされるかもしれない「富栄養化」という言葉ですが、ここで言う「栄養」というのは、湖沼などに生息する植物性プランクトンが成長するための「栄養塩類」を指しています。この栄養塩類の代表が、生活排水に多く含まれる窒素やリンになります。 湖沼などでこれらの濃度が高まれば、植物プランクトンが異常増殖を起こし、赤潮やアオコの発生、異臭(カビ臭など)などの水質障害、酸素濃度低下による魚介類の死滅、水域の水質値の悪化などの様々な問題を引き起こしてしまいます。

ゆうぞう博士

 一般に、汚濁物質は、広がって濃度が薄まってしまう前に、つまり発生源に近い場所で対策をとることが重要かつ効率的です。湖沼等の水質を改善していくには、工場や事業所のみならず、生活排水等も含めた発生源全体からの汚濁負荷量について総合的・計画的な対策を推進する必要があります。 浄化槽は、このような生活排水対策を進めるために重要な技術として、さらに高性能化を図るための研究が進められています。

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