循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 当ててみよう!
2009年11月2日号

シナリオ

解答 [Answer]
加用千裕
【答え】 [3] 6つ
【解説】

IPCC第4次評価報告書では、A1FI、A1T、A1B、A2、B1、B2と呼ばれる6つのシナリオグループ(ある社会・経済のシナリオのもとでの複数の温室効果ガス排出のシナリオ群)ごとに、そのグループにおける例示的な排出シナリオのもとで予測される将来の気候変化が示されています。シナリオグループは、排出シナリオに関する特別報告書(Special Report on Emissions Scenarios)において開発されたもので、今後の社会・経済の方向性について「経済発展志向(A)か環境保全志向(B)か」、「地球主義志向(1)か地域主義志向(2)か」の2つの軸が設定され、それぞれの組み合わせによって、A1、A2、B1、B2の4つの社会・経済の将来像が描かれています。さらにA1は、エネルギーの供給や利用における技術革新の選択肢が異なる3つのシナリオ(化石エネルギー源重視(A1FI)、非化石エネルギー源重視(A1T)、全てのエネルギー源のバランス重視(A1B))に分割され、計6つのシナリオグループがあります。

例示的な6つの排出シナリオのもとで予測されている気温上昇には大きな違いがあります。例えば、環境の保全と経済の発展を地球規模で両立していくB1シナリオでは、温室効果ガス排出量が最も少なく、20世紀末から21世紀末までの平均気温の上昇は1.1℃〜2.9℃です。しかし、化石エネルギーを使い続けて地球規模で経済発展を進めていくA1FIシナリオでは、温室効果ガス排出量が最も多く、平均気温の上昇は2.4℃〜6.4℃と報告されています。

当センターで作成した資源・廃棄物フローと資源循環・廃棄物管理システムのシナリオ(本誌2009年11月2日号「循環型社会ビジョン検討のためのシナリオ・プランニング」参照 )においても、「グローバル化(地球主義志向)かリージョナル化(地域主義志向)か」の軸が選定されています。このように貿易体制や地域社会の変化は廃棄物管理と地球温暖化のどちらにも大きな影響を与える可能性があります。


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