活動レポート
2018年9月号

資源循環・廃棄物研究センター 2018年 夏の大公開

大塚 康治

毎年恒例の国立環境研究所夏の大公開が「キミの知っている環境問題は氷山の一角かもしれない。」と題して7月21日(土)に開催されました。連日の猛暑の中、5,320名(昨年は過去最高の5,486名)の皆さまにご来場いただきました。

資源循環・廃棄物研究センター(以下、循環センター)では、「Mission資源を回収せよ!」をテーマに企画・展示を行いましたので催事担当者に紹介いただきます。

こでん屋

使用済みとなった携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレイヤーなどの小型家電は略して「こでん」と呼ばれています。こでんに、様々な有用金属が含まれていることを学ぶための体験型店舗「こでん屋」を1日限定でオープンしました(写真1)。「おでん屋」ではありませんよ、「こでん屋」です。ミッションカード(写真2)を選んだら、こでんにはどんな金属が多く含まれているのか情報を集めます。ミッションカードでターゲットとなっている金属をできるだけ多く回収すべく、こでん鍋(写真3)にあるこでんを5つ注文したら最後はレジで答え合わせです。果たしてミッションは達成されたのでしょうか!?

(循環型社会システム研究室:河井紘輔)

右上(写真1 こでん屋の様子)、左(写真2 こでん屋のミッションカード)、右下(写真3 こでん鍋)

熱処理プラント実験室公開

写真4 実験用焼却炉の説明

家電のリサイクルとごみの焼却・溶融についての展示を行いました。パネルによる研究紹介の他、家電のリサイクルについては分解したサンプルを見ていただきながら、国内や途上国のリサイクル状況を紹介しました。ごみの焼却・溶融については実物の焼却灰や溶融スラグの展示や、実験用焼却炉の説明を行って(写真4)、熱処理による減容化を紹介しました。実際のサンプルを手に取って見ていただき、ごみ処理をより身近に感じながら理解を深めて頂くことができたかと思います。

(基盤技術・物質管理研究室:野田康一)

ごみごみアカデミア

写真5 最終処分場に関するクイズ

ごみごみアカデミアでは、ごみの最終処分場のことを深く知ってもらうために、ごみを埋め立てる方法や長い間安全に保つ方法などのクイズを行いました(写真5)。循環センターの企画・展示を思い出すきっかけになればと思い、クイズ解答用紙の裏面にはゴミ収集車が作成できるペーパークラフトを印刷し、クイズ参加者への景品として配布しました。ペーパークラフトは上手に作れましたか?また、レーザーメタン計を用いたゲームを通じて、ごみの埋め立て地から出るメタンガスの調査を体験して頂きました。来年度も、最終処分場について楽しく学習できる体験型の企画を行いたいと思います。

(国際廃棄物管理技術研究室:北村洋樹)

排水の処理と資源の循環

写真6 浄化槽のミニチュアモデル

日本独自の生活排水処理技術である浄化槽のミニチュアモデルなどを展示しました。浄化槽の構造や原理の説明ばかりではなく、実際の排水と処理水を見比べて、その違いを実感して頂いたり、小さいお子さんに排水を処理する理由を理解して頂いたりしました。日本の浄化槽の整備状況や災害対応、海外展開の他、環境に貢献できるちょっとした習慣など、皆さまにお伝えしたい浄化槽の今がたくさんありますので、来年も楽しくためになる企画を考えたいと思います。(写真6)

(国際廃棄物管理技術研究室:蛯江美孝)

ペットボトルのフタと梱包材でスタンプ作り

写真7 ペットボトルのフタと梱包材でスタンプ作り

体験型企画として、ペットボトルのフタ(ボトルキャップ)と梱包材を使ったスタンプ作りを行いました。梱包材をクラフトパンチを使って色々なデザインの形にくり抜いたり、梱包材の上に自分で描いた絵をハサミで切り取ったりして、ボトルキャップに貼り付けてスタンプを作りました。雪の結晶のような複雑なイラストはくり抜くのが難しかったようです。デザインを考えるのにも楽しんでいた様子が見受けられましたが、時間がかかってしまうのが難点です。回転率のよい催しにするためにはどうすればよいか、毎年考えを巡らせています。(写真7)

(国際廃棄物管理技術研究室:小林拓朗)

災害時の廃棄物処理についての展示

写真8 災害ゴミクイズ

災害ごみって、普段の生活から出てくるごみとはちょっと様子が違うのだな、と感じて頂けるように、お子さん向けにはタブレットを操作してチャレンジするクイズを、また中高以上の学生さんや大人の皆さまに向けても、当センターの災害ごみについての取り組みの一端をご覧頂けるよう写真を展示しました。この企画を準備する最中には西日本を中心に豪雨災害が起こり、災害ごみの適正処理のため現地支援している当研究所の職員から送られてきたばかりの写真も掲示していました。今年より始まった新しい試み、いかがでしたでしょうか。来年も分かりやすく学び体験できる企画をご用意して皆さまのご来場をお待ちしております!(写真8)

(災害環境マネジメント戦略推進オフィス:川畑隆常)

写真9 つくば市の小型家電回収ボックス

以上のほかに、つくば市廃棄物対策課の方も、来年から市内で導入予定のプラスチック分別に関するチラシを配布され、市民に協力を呼びかけられていました。なお、つくば市からお借りした小型家電回収ボックスには、参加者から携帯電話、ACアダプター等30数個の回収対象小型家電を入れていただきました。(写真9)

今年の夏の大公開も多くの皆さまに楽しんでいただきました。循環・廃棄物研究棟では正確な人数は把握できてはいませんが、700-800名の皆さまに来場いただいたと見込んでいます。"こでん屋"は昨年度の来場者アンケートで復活の希望をいただいた企画でもあります。来年も皆さまからのご意見も参考にさせていただき楽しんでいただけるように、そして、私たちの研究活動をより深く知っていただけるように準備したいと考えています。次回もご来場をお待ちしています。

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