国立環境研究所では、広く一般の方々に環境問題に関心を持って頂くとともに、研究所の活動について理解を深めて頂くために、毎年4月の科学技術週間と夏休み時期の7月に一般公開を行っています。
今年も4月18日土曜日に主に高校生以上を対象として研究の内容・成果の紹介を目的とした一般公開「春の環境講座」が開催されました。
当日は前日の雨も上がり、過ごしやすい天候となったこともあり、595名という多くの皆様にお越し頂きました。厚くお礼申し上げます。
今年の環境講座では、当センターからは小林拓朗研究員から「廃グリースからのデュアルバイオ燃料製造技術の開発」と、小栗朋子特別研究員と松神秀徳准特別研究員による「電気・電子機器廃棄物(E-waste)中金属類含有量と溶出挙動」のパネル展示を行いました。
「廃グリースからのデュアルバイオ燃料製造技術の開発」では、飲食店の厨房に設置されているグリーストラップ(阻集器)に蓄積した廃グリースを2種類の燃料へ変換して有効利用する技術開発の紹介をしました。
この廃グリースに含まれる油脂分は重油代替の液体燃料として、また油脂分離後の残さ分はメタンガスのガス燃料として利用可能であり、かつ分離のために必要な加温のエネルギーは、獲得できるエネルギーよりも遥かに小さく、焼却施設等の廃熱が利用可能であること、また仮に東京都で実施すると2万~3万世帯の電力供給が期待できることなどについて、熱心にご質問を頂きました。
「電気・電子機器廃棄物(E-waste)中金属類含有量と溶出挙動」では、パソコンや携帯電話などの電気・電子機器廃棄物(E-waste)にはレアメタルや貴金属などの有用金属とともに有害金属が含まれており、途上国での野積みや野焼き等の不適切なリサイクル作業に伴う環境汚染は国際的な関心事となっていることを背景として、これから廃棄量の増加が見込まれる液晶ディスプレイの金属含有量と溶出量の測定結果を紹介しました。
欧州連合(EU)が有害物質の電気・電子機器への使用を制限した有害物質使用制限指令(RoHS指令)施行前後の時期を境に規制対象金属以外の金属についても代替が進んでいることなどについてご説明し、ご来場の方々に興味を示して頂くことができました。
次の一般公開は7月18日土曜日に夏の大公開が予定されています。春の一般公開は主に高校生以上の一般の方を対象としたものですが、夏の大公開はお子様から大人まで全ての世代のみなさんで楽しんで頂けるよう、研究成果を分かりやすく紹介したいと思いますので、ぜひご来場ください。