国立環境研究所では毎年4月の科学技術週間において主に高校生以上の一般の方々を対象とした一般公開を開催しています。今年も「春の環境講座」としまして4月20日土曜日に開催しました。
当日は曇り空、気温は2月下旬並み、また午後からは雨も降るというあいにくの天気ではありましたが、425名という多くの方にご来場頂きました。厚くお礼申し上げます。
今年の講座では、資源循環・廃棄物研究センター(以下循環センター)は、大山記念ホールでの講演会とパネル展示を行いました。
講演会では午前の早い時間にも関わらず満席になるほどの聴講者がいらっしゃるなか、トップバッターとして多島良特別研究員が「高齢化社会におけるごみ」のタイトルで講演を行いました。
高齢化が進むと、排出されるごみの量や中身、ごみ管理のシステムにどのような影響が出るのかを、つくば市及び地元自治会にご協力いただいた研究を紹介しました。
前期高齢者(65歳~74歳)は調理する機会が多いことにより、ごみが相対的に多く、後期高齢者(75歳以上)は食が細くなることと、生ごみを出さない工夫が上手であるため、ごみが少なくなっているだろうとのお話は関心を持って聞いて頂きました。また、ごみ出しは1回あたりで平均約4kgの重さを運ぶ重労働で、ごみ出し支援の動きがあるとのお話は肯いていらっしゃる方もいました。
パネル展示では、講演会でご紹介した多島良特別研究員による「高齢化社会におけるごみ」と河井紘輔研究員による「発展途上国におけるリサイクルの担い手」について展示しました。
「高齢化社会におけるごみ」では、講演会では紹介しきれなかったごみの組成調査やアンケート調査の詳細を展示しました。講演会の後、もっと詳しく話が聞きたいと熱心に質問をされる方もいらっしゃいました。
「発展途上国におけるリサイクルの担い手」では、ベトナム国ハノイ市を例として、発展途上国においてのリサイクル活動の主な担い手であるインフォーマルセクター(公共が関与しない組織群)の活動実態と廃棄物の発生量削減効果を紹介しました。
発展途上国においてのインフォーマルセクターによるリサイクル活動は、自らの生活費を稼ぐための活動ですが、結果的に天然資源利用量及び廃棄物処分量の削減にも貢献していることや、「junk buyer」と呼ばれるリサイクルの担い手は地方から都市に出稼ぎに出てきていることなどを興味深く聞いていらっしゃいました。
次の一般公開は7月20日土曜日に夏の大公開が予定されています。ご家族みなさんで楽しんで頂き、また、研究成果を分かりやすく紹介出来るよう頑張りますので、ぜひご来場ください。