国立環境研究所では研究所の活動について広く一般の方々に理解と関心を深めて頂くために、4月の科学技術週間と夏休み期間の7月に、一般公開を行っています。
今年も一般公開「春の環境講座」が、主に高校生以上の一般の方々を対象として4月21日土曜日に開催されました。
当日は午前中はあいにく曇り空ではありましたが、午後からは天候が回復したこともあったのか570名という多くの皆様にご来場頂きました。厚く御礼申し上げます。
地球温暖化研究棟で開催された講演会では、わたしたち資源循環・廃棄物研究センター(以下循環センター)の 田崎智宏主任研究員が「省エネ製品への買い替え判断~LCAという考え方~」というタイトルで、ライフサイクルアセスメント(LCA)の考え方と皆さんが直面する様々な買い替え条件(買い替えによる大型化やあまり使っていない製品の買い替えなど)における買い替え判断結果をご紹介しました。非常に盛況で、講演会が終了した後も熱心に質問をされていた方もいらっしゃいました。
また、大山記念ホールロビーにて行われた「研究所における東日本大震災後の復旧・復興貢献活動について」のパネル展示では、循環資源基盤技術研究室の山本貴士主任研究員による「放射性物質に汚染された廃棄物関連試料の放射能測定法の検討」と廃棄物適正処理処分研究室の石森洋行特別研究員による「放射性物質に汚染された一般廃棄物焼却灰の安全・安心な埋立処分の実現に向けて」を展示しました。
「放射性物質に汚染された廃棄物関連試料の放射能測定法の検討」では、放射性物質により汚染された廃棄物の安全・安心な処理を進める上で求められる放射能濃度、放射線量の正確な測定方法について検討した中で、「焼却排ガスのサンプル採取方法の検討」、「固体廃棄物の試料代表性に配慮したサンプリング方法の検討」、「放射能分析の精度管理のためのクロスチェック」の3点について研究内容をご紹介しました。
今までは廃棄物関連試料の放射能の測定法は十分に整備されていなかった、との説明を受けて皆様とてもびっくりされたご様子でした。
「放射性物質に汚染された一般廃棄物焼却灰の安全・安心な埋立処分の実現に向けて」で は、放射性物質により汚染された一般廃棄物焼却灰の安全・安心な埋立処分を検討するために、「放射性物質を含む廃棄物等の問題の構造」、「既存処分場への埋立方法の提案」、「安全・安心な埋立処分に向けた研究課題」の3点について紹介しました。埋立地での放射性物質のシミュレーションなどの説明をとても熱心に伺っている方が多くいらっしゃいました。
さらに両パネルについて深く興味をもたれた方は、専門家向けの資料ではありますが、「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)」をお持ち帰りになる方もいらっしゃいました。
次の一般公開は7月21日土曜日に夏の大公開が予定されています。春の一般公開は高校生以上を対象としていましたが、夏の一般公開はお子様も含めご家族皆さんで楽しんで頂けるような形で研究成果を分かりやすく紹介していきたいと考えておりますのでぜひご来場下さい。