貿易統計は、各国や国間の貿易の実態をまとめたもので、経済・社会活動の分析を可能にする基礎資料の1つです。各国の貿易の傾向を調べる目的以外に、気象や災害の影響・燃料構成の推移・リサイクル可能資源の国際移動・有害金属を含む製品の国際需給などを分析するためにも使われています。
データは一定期間の輸出国と輸入国、品目、金額、数量単位、数量を集計し毎月品目コードごとに整理後、翌月公表され、半期・一年の集計も行われます。品目コードには2種類あり、国連による標準国際貿易商品分類と、世界税関機構の関税協力理事会による「商品の名称および分類についての統一システムに関する国際条約」に基づく、商品分類品目表(HSコード)があります。後者のHSコードは広く使われて、国連統計局による国連加盟国の統計機関からデータを集めたデータベースであるUnited Nations Commodity Trade Statistics Database(UN Comtrade)で採用されています。日本の貿易統計もHSコード(商品分類番号)によって集計されています。HSコード上6桁は世界共通ですが、以降の細分類は国により異なります。日本ではさらに3桁増やした9桁で統計を作成しています。
貿易統計には、輸出入の帳尻が合わないという問題があることが知られています。ある品目がA国からB国へ移動したとき、A国の輸出量とB国の輸入量は一致するはずですが、一致することはほぼありません。不一致の原因はさまざまで、1年という集計期間のずれ、為替変動の計算上の扱いの違い、報告・集計精度の違い、カバーする品目の違い、金額や物量に換算するときの計算法の差などが違いとして現れます。データが含むエラーを克服して統計を整備するために、複数の方法が検討されてきました。いくつかの機関や団体は、データのエラーを補正し、独自にデータを加えて2次統計を発表しています。過去から現在までの貿易統計を見ると、国の分割・統合や領土の変更、為替の変動、品目分類の改訂など、世界情勢・技術革新の歴史が反映されています。今後も新しいカテゴリの製品が流通したり、逆に特定の品目の流通がストップしたりすることにより、貿易表における品目分類は変わっていくかもしれません。
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