強熱減量試験は、高温で加熱した際に揮散するものの質量を測る試験です。試験は加熱温度も高く、さらに一定温度に保つ必要があるため、写真-1に示す電気マッフル炉という加熱装置を用います。試験対象物は熱を加えられることにより燃焼や熱分解を起こし、その質量を減少させます。具体的には、強熱の前後で質量を計測、その差を揮散量(減少量)とし、試験結果は元の質量に対する質量減少量を割合(%)で表します。ここで、加熱により揮散するものとしては、試験対象物に含まれる結晶水や有機物などが想定されます。様々な分野で適用されている例を表-1に示します。地盤工学の分野では土中の有機物量などをこの試験方法で調査し、例えば有機物の分解により変形を起こしやすい土か否かを見分けます。コンクリート工学分野では、その主成分であるセメントの品質管理のため、不純物の量を把握することに本試験が用いられています。廃棄物工学分野では、清掃工場で焼却処理された物の中の燃え残りについて調査します。焼却が適切に行われているかを判断する方法の一つとして採用されています。排水分野では、排水や汚泥中に含まれる有機物量を計測する方法として、工場や下水処理場の排水管理に用いられています。このように、分野によって強熱減量試験の目的や揮散する物質は異なりますが、比較的簡便な操作で実施できることから、多くの分野で利用されています。