バイオマスエネルギーは太陽エネルギーが化学エネルギーの形態でバイオマスに蓄積されたエネルギーのことを意味します。バイオマスエネルギーは直接的または間接的に緑色植物の光合成から生成されて、従来の固体、液体および気体燃料代替する再生可能なエネルギーに変換することが可能です。さらにバイオマスエネルギーには、植物の生長に伴うCO2吸収とバイオマスエネルギーの利用に伴うCO2排出がつり合うこと、燃焼等に伴う環境負荷が化石燃料より小さいことなどの利点があります。バイオマスエネルギーは世界で最も広く使用されている再生可能エネルギーで、使用量は石炭、石油、天然ガスに続いて世界第4位です。毎年、世界中で生成するバイオマスの総量は1440~1800億トンであり、1990年代の年間世界総エネルギー消費量の3~8倍に相当します。また、各種バイオマスから生産される代替燃料は世界の総エネルギー消費量の40%以上を占めると言われ、将来の持続可能なエネルギーシステムの重要な一部となる可能性が高いと推定されています。
現在のバイオマスエネルギー利用形態は、燃料としての直接利用(作物のわら、薪など)や間接利用(農・林業廃棄物、動物の糞、ゴミや藻などの化学・生物的変換)があります。間接利用の技術としては、生物発酵によるバイオガスやバイオエタノール生成、熱分解による気体燃料製造、バイオ炭の生産などがあります。しかし、世界的にみるとバイオマスエネルギーはまだ合理的には使用されておらず、大半は薪として直接的に使用されているため、非効率的であり、生態環境に悪影響を与えています。バイオマスエネルギー技術の研究開発は世界の主要な話題の一つとして、世界の諸国政府や科学者が注目しています。
<もっと専門的に知りたい人は>
- 柳下立夫監修:バイオエネルギーの技術と応用、シーエムシー出版、日本、2009.4
- Field Christopher B., Campbell J. Elliott, Campbell David B.: Biomass energy: the scale of the potential resource, Trends in Ecology and Evolution, 23(2), 65-72, 2007