家庭からのごみを分別して調べてみると、紙・布類、プラスチック・ビニール類、厨芥類、草本類などに分けられます。ここまではイメージできると思いますが、元素レベルまで細かく調べてみると一体どうなっているのでしょうか。
図に可燃ごみの元素組成の例を示します。炭素(C)、水素(H)、酸素(O)は、ごみによって変動があまりありませんが、無機元素については、変動が大きいことがわかります。無機元素は、燃やされるごみに厨芥類が多いのか、プラスチックが多いのか、分別回収がどの程度徹底しているのかなどによっても異なってきます。
燃やすものの元素組成が変動すると、焼却後の焼却灰の組成も変わってきます。したがって、燃やすものの元素組成をデータベースとして持っておき、灰にどんな化合物が含まれるのかをあらかじめ予測できればその後の処理・資源化計画を立てる上で役立ちます。オランダエネルギー研究センターのサイトには、バイオマスをはじめとして、都市ごみ、下水汚泥など様々な物質の元素組成データが公表されており、また国内の各研究機関でもごみや下水汚泥等の元素組成の測定がなされています。産業廃棄物については産廃データベースに値があります。ごみは多様なものから構成されるため、灰分も含めた一般的なごみの元素組成というものを示すことは難しいですが、地道な分析の積み重ねにより元素組成データを蓄積していくことで、ごみについて一般的なことが言えるようになるかもしれません。
次に、何を燃やすとどんな灰ができるのかといった総合的知見ですが、こちらは国内・海外とも調査・研究が進行中であり、今後も調べていく必要があります。興味を持たれた方は、廃棄物資源循環学会のウェブ上で公開されている刊行物などをご覧ください。
当センターでは現在、放射性物質汚染廃棄物の焼却処理における放射性セシウムの挙動を調査・研究しています。詳細は「循環・廃棄物のけんきゅう 汚染廃棄物焼却過程における放射性セシウムの化学形態を推定するために」をご覧ください。