産業活動においては、様々な有害物質を含む廃棄物が発生することがあります。その場合、通常の廃棄物処理では安全に中間処理できずに環境の汚染を引き起こす可能性がないとは言えません。従って、産業廃棄物を最終処分する場合には、有害物質の量が環境を汚染しないレベルであるかどうかを調べなくてはなりません。そのうち、埋立処分しようとする燃えがらや汚泥、鉱さい等については、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」が、環境省から示されています。これは、対象となる廃棄物から溶出試験によって検液を作成し、検液中の有害な金属や農薬、揮発性有機化合物の濃度を測定して基準値を下回ることを確認する方法です。
この「産業廃棄物等に含まれる金属等の検定方法」が環境庁告示として示されたのは昭和48年のことで、既に40年近くが経過しています。その間の有害物質の分析技術の進展、あるいは試験法の抱えていた課題を踏まえた改正のための検討が関係学会等を中心に進められ、2013年2月21日に、環境省より告示されました。
主な改正点として、検液の作成方法について、溶出試験に使用する溶媒のpHや容器の大きさ、振とうの方向、溶出操作後の遠心分離の条件やろ過に用いるろ紙などが明確に規定されたことがあります。また、検液中の有害物質濃度の測定方法も、引用する日本工業規格(JIS K 0102)の改定に合わせ、ヒ素やセレン、ベリリウムなどについて最新の分析方法が新たに追加されました。
廃棄物中の有害物質を正確に測定することは、廃棄物を適正に処理する上でたいへん重要なことです。今回の検定方法の改正でより正確な測定が行われることになることが期待されます。