循環・廃棄物の豆知識
2012年7月号

デポジット制度

田崎 智宏

リサイクルに欠かせない「回収」

リサイクルが継続に行われるためには、1)一定量のモノが集まる、2)リサイクル品に一定水準の品質がある、3)リサイクル品に需要がある、4)リサイクルを行う業者等に経済的な採算性がある、5)リサイクル品に有害物質が混入しないという条件が満たされる必要があります。リサイクルしてはいけないものが混入することなく、廃棄物等を排出者からいかに回収を行うかが鍵になります。

経済的インセンティブを与える

では、どのようにして回収を進めたらよいでしょうか。よくある考えとしては、まだ資源として利用できる廃棄物等をきちんと分別して返却した人に、ご褒美、例えばお金をあげるというのが一つの有力な方法でしょう(お金やポイントなど経済的な価値を有する、行動の動機付けになるものを「経済的インセンティブ」といいます)。しかし、このようにしてしまうと、回収が進むにつれて、どんどんお金が必要になってしまいます。そこで考案されたのが「デポジット制度」という仕組みです。正確には「デポジット・リファンド制度」と呼び、製品を買った人からある金額の預かり金(「デポジット」といいます。)を徴収しておき、その製品が廃棄物等になって指定の場所(店舗や回収拠点など)に返却されたときに、その預かったお金が返される(これを「リファンド」といいます)という仕組みです。ご褒美となるお金を用意することなく、資源等の回収を進むことが期待できます。

我が国では、いくつかの地域などにおいてデポジット制度が導入されていますが、全国統一のデポジット制度は 導入されていません。デポジット制度の構築や運営の負担や、製品の売り上げの減少が懸念されるなどの反対意見があるためです。しかし、資源回収の有力な制度であることには間違いがないので、制度においてどういった工夫をすれば、受け容れられるようになるのか等の検討が求められています。

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