循環・廃棄物の豆知識
2015年2月号

ガスの拡散

遠藤 和人

廃棄物最終処分場では、埋め立てられた廃棄物に含まれる有機物等の分解や化学反応によってガスが発生します。温暖化ガスとして知られるメタンや二酸化炭素の他に、窒素や水素ガスも発生します。場所によっては硫化水素ガスが発生する場合もあります。これらガスは処分場の中で発生し、濃度の違いによる拡散、密度が異なることによる浮力、圧力差によって運ばれる移流などによって、大気へと移動します。ここでは、その中でガスの拡散についてお話したいと思います。

ガスの拡散は濃度が高いところから低いところへと移動します。空気は主に窒素と酸素、二酸化炭素によって構成されているので、処分場の中でメタンガスや水素ガス等が発生すると処分場の中の濃度が高くなり、濃度がゼロに近い大気へと移動していきます。この移動する速度は濃度の差によって変化しますが、物質によっても異なります。物質毎の拡散速度は、分子量の平方根の逆数に比例する事が知られています。文字で書くと分かりにくいのですが、次式のようになります。

例えば、物質Aが水素ガス、物質Bが窒素ガスだとすると、物質Aの分子量が2、物質Bの分子量が28となり、上式は √28÷√2 となって、約3.74という値が計算されます。よって、物質Aの拡散速度÷物質Bの拡散速度が3.74になるので、水素ガスは窒素ガスの3.74倍の速度で移動するということが分かります。水素ガスの分子量が最も小さいので、結果的に、水素ガスが最も移動しやすいガスであることも容易に想像できると思います。

しかし実際は、この数字の通りにはなりません。それは、空気中に二酸化炭素や酸素などの色々なガスが混在しているので、相互作用を受けるためです。また、浮力や圧力(気圧)なども存在しているため、拡散現象だけでは説明できないことが多いことも理由です。このようにガスの移動は複雑な現象が絡み合っていますが、動きやすさの目安は分子量で把握することができます。

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