循環・廃棄物の豆知識
2014年9月号

固形廃棄物の好気的生物処理

落合 知

生物処理できる固形廃棄物

固形廃棄物とは、一言でいえば私達が「ごみ」と呼んでいるものです。この「ごみ」の中には、生物処理できるものとそうでないものがあります。例えば、野菜や肉類などの厨芥や、樹木を切ったときに出る剪定枝や落葉、家畜動物の糞尿、さらには動物の遺骸も生物処理可能な「ごみ」です。一方、プラスチックやガラス、ゴムなどの化学合成系の廃棄物等は生物処理には適さない「ごみ」です。このように、「土に還るごみ」が生物処理可能な固形廃棄物といえます。

固形廃棄物の生物処理とは、動物(ミミズなどの小型動物)や微生物を利用して、廃棄物量を減らし(減容化)、肥料等としてリサイクル(資源化)する方法です。生物処理方法は、大きく分けて嫌気的生物処理と好気的生物処理の2つがあります。嫌気的生物処理(特にガス化処理)については(2012年5月号「家庭用バイオガスシステムの仕組み」)に詳しく紹介されています。ここでは好気的生物処理について説明します。

好気的生物処理のしくみ

私達が生活している環境のような酸素がある状態を、「好気状態(好気性)」と呼びます。一方、酸素がない状態を、「嫌気状態(嫌気性)」と呼びます。好気的生物処理とは、好気状態で活動する微生物等に固形廃棄物を処理してもらう方法です。また、ミミズなどの小型動物による処理も、好気的生物処理に入ります。好気性微生物は、廃棄物中有機物から酸化反応を経てアデノシン三リン酸(Adenosine triphosphate: ATP)を獲得すると同時に、二酸化炭素と水を生成します。また有機物が少なくなったときには微生物自身の体細胞の酸化反応によりATPを合成するとともに、二酸化炭素と水とアンモニアを生成します。この二つの反応が繰り返し起こることで、廃棄物は分解され低分子化されていきます。また、このとき生物反応により有機物中のエネルギーの50~60%はATPに変換され、残りは熱(生物反応熱と呼ばれる。)として放出されます1)。このように微生物の代謝能力を利用して廃棄物処理をしているわけです。

好気的生物処理の例として、堆肥化(コンポスト化)処理があります。これは固形廃棄物の水分や通気(酸素濃度)を管理して、数週間から数ヶ月かけて生物分解する方法です。イラスト:じゅん時間をかけて有機物を生物分解するため、糖類やタンパク質などの分解しやすい有機物だけでなく、比較的分解しにくいセルロース系の植物由来物も分解し安定化・無機化できます。そのため出来上がった堆肥は腐植質(フミン酸)を多く含み、「水もちがよく」「水はけがいい」という植物生育に適した団粒構造を持ちます2)。また、処理過程で生物反応熱により廃棄物中の温度が50~80℃程度にまで達するため、病原性微生物を死滅させることができます。このような堆肥化処理により、固形廃棄物を良質で衛生的な堆肥としてリサイクルすることができます。

参考資料
  1. Thomas H.Christensen, ed. Solid Waste Thechnology & Management. 2 vols. U.K.: A John Wiley and Sons, Ltd., 2010. Vol.2.
  2. 藤田賢二. コンポスト化技術 廃棄物有効利用のテクノロジー:技報堂出版, 1993.
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