けんきゅうの現場から
2016年8月号

地域資源循環のコツを聞くためのコツ

稲葉 陸太

地域資源循環とその関係者(構築・運用のコツ)

資源循環を市町村や都道府県などの規模で実施することが「地域資源循環」です。生ごみなど、生き物が元になった廃棄物や未利用資源は「バイオマス」と呼ばれますが、その循環利用は市町村などの規模で実施されることが多く、有力な地域循環資源といえます。なぜバイオマスが地域で循環利用されるかというと、重さに対する価値が金属などに比べると低く、遠くまで運ぶとその料金の方が高くなってしまうからです。生ごみなどのバイオマスはこれまで、価値が低いものとして焼却などの処理をされてきましたが、上手く地域資源循環が実施できれば、廃棄物処理のお金を節約することができます。また、地域資源循環を地域社会や地場産業とつなげることができれば、地域を活性化できるかもしれません。さらに、バイオマスは生物が大気中の炭素を固定してできた資源のため、エネルギー利用しても地球温暖化にはつながらないという利点もあります。

地域資源循環は色々な関係者に支えられています。生ごみの堆肥化を例にすると、まず、家から生ごみを出したり分別したりする市民、それを回収する事業者、施設で生ごみを堆肥化する自治体、堆肥を利用する農家、堆肥で栽培された農作物を販売する小売店、といった具合です。以上は直接関わっている人たちですが、この他にも、地域資源循環のシステムを考える人、システムを作るお手伝いをする人、システムが動いてから問題を解決する人もいます。イラストシステムを考える人としては、市町村長、事業者、あるいは協議会も考えられます。システムを作るお手伝いとしては、大学の先生などが専門知識をふまえて助言することも考えられます。こういった関係者は、地域資源循環を構築・運用するために様々な努力や工夫を行っており、そういったコツを知ることができれば、他の地域でも参考になる可能性があります。

関係者へのヒアリング調査(コツを聞くためのコツ)

地域資源循環をさらに多くの地域で実施するためにも、先行事例における関係者の状況について調査が必要ですが、それには文献調査およびヒアリング調査などがあります。文献調査は、社会に公表されている書籍や論文を収集して内容を調べるものです。ヒアリング調査は、先にお話しした関係者に質問してデータを集めるものです。地域資源循環の場合、技術やシステムの詳細だけでなく、それらを導入・運用するうえでのコツや苦労も調査対象となりえます。

我々がこれまで実施したヒアリング調査の手順は次のようなものです。まず、文献やネットで調査対象の地域や地域資源循環に関する資料を集めて、ヒアリング対象とするべき人を選びます。ヒアリング対象者を選んだら、まず、メールや電話でご挨拶と調査の説明を行い、調査への協力をお願いします。調査の説明はできるだけ簡潔で、分かり易いものが望まれます。また、メールが可能なら最初にお送りし、一両日ほど経ってから(メール確認が予想される時間が経ってから)電話でもご連絡するのが良いでしょう。手元に文面があり、それについて口答で説明されれば理解が容易になります。調査に理解が示され、協力が約束されれば、ヒアリング調査の日時を調整します。ヒアリング調査に併せて現地や施設の見学をお願いすると、リアリティのある情報を効率的に集めることができます。ヒアリング日時までに追加資料の送付を依頼される場合もあります。追加資料を依頼されなくても、当日の質問事項を簡潔にまとめた質問票を事前に送付した方が対象者は準備しやすく、質問者も希望の情報を得られやすくなります。ヒアリング当日は、対象者に直接ご挨拶したあと、改めて調査の目的と概要を説明し、質問票の事項に従って質問を行います。質問は、当然ながら事例や対象者によって内容や数量が異なります。また、順序も変える必要性があるかもしれません。例えば、最初に深刻な問題点について質問して対象者の心象が悪くなり、その後の質問事項への回答に支障が出る可能性もあるのです。いずれにせよ、できるだけ事前に対象者の情報を入手し、また、当日も対象者の反応をみながら上手く質問していく必要があります。分かりやすく言えば、対象者が抱える問題や悩みに対して親身になる「聞き上手」を心がければ、信頼が得られ希望する情報も得やすくなるかと考えられます。ひととおり質問事項に答えていただいたら、対象者の都合次第で自由な議論の時間となり、対象者のあふれんばかりの想いを拝聴することも可能です。地域資源循環では、技術システムを導入・運用するうえでのコツや苦労が非常に重要ですが、これらを収集するためにヒアリング調査が特に有効となります。ヒアリング調査が終われば、対象者に御礼を述べ、必要に応じて調査結果を簡潔に報告することになります。

じゅん地域資源循環のヒアリング調査では、対象者が複数必要となってきます。ここで、全ての対象者を文献やネットで調べることは非常に困難です。そこで、特定の人に連絡をとり、ヒアリング調査に了解をしてもらえば、関係する他のヒアリング対象者を紹介してもらうことも一つの手です。地域資源循環では、関係者はお互いに知り合いである場合が多いので、特にこの方法は有効です。

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