2011年1月24日号
バーゼル条約・バーゼル法横尾英史
1970年代より、先進国から発展途上国に有害廃棄物が輸出され、輸出先において環境汚染を引き起こす事態が数多く発生しました。この対策として現在では、バーゼル条約によって有害廃棄物の国境を越える移動が規制されています。バーゼル条約の正式名称は「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」といいます。そして、これを履行するために、日本でも「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」が1992年に公布、1993年に施行されました。この国内法のことをバーゼル法と呼んでいます。 バーゼル法では、バーゼル条約に準拠して「特定有害廃棄物等」と決めたものの輸出入を規制しています。この「特定有害廃棄物等」の具体的な例としては、使用済みのニッケル・カドミウム蓄電池やシュレッダーダストなどがあります。これらのものを輸出する場合には、相手国に事前通告して承認を得た上で、経済産業大臣の承認などを得ることがバーゼル法により義務付けられているのです。また、廃棄物処理法で廃棄物とみなされるものを輸出しようとする場合には、環境大臣の確認も必要になります。 輸出入を行う人は、バーゼル法の規制対象物となっていないかどうかを判断した上で、必要な手続きをしなければなりません。この際に、その貨物が「特定有害廃棄物等」とみなされないかを事前に環境省・経済産業省に相談することが求められます。また、相談を受けた環境省・経済産業省は、輸出入されるものがバーゼル法の対象に該当するか否かについて回答することになっています。しかしながら、近年、中古家電として輸出されたものが輸出先において利用できないものであるとわかる場合や、金属スクラップの中に規制対象物が混入している場合など、実際にはバーゼル法で規制されるべきものが輸出入されていることがあります。これからは、輸出入の段階だけでなく、それ以前に国内で回収や取引される段階での対策も検討していく必要があるでしょう。 |
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