2007年9月3日号
アスベストを含む建材 - その廃棄はいつまで続く?貴田晶子
これまでに使用されたアスベスト製品は、1942年からの60年間で約5000万トン(アスベスト量として約600万トン)に上ります。多くは住宅用のスレート(アスベストをセメントで固めて板状に成形した物)です。それでは今後、これらの製品がどのくらい廃棄物となって発生するのでしょうか、また、いつになったら使用禁止の効果が現れてくるのでしょうか。1970年以前に製造されたものは、既に廃棄物として処理されているものとし、建材の寿命を30年とした場合の予想が図です。毎年アスベストを含有した建材は120〜160万トン程度発生し、廃棄のピークは2020年あたりと予想されています。建材寿命が50年とした場合には、毎年の発生量は少なくなりますが、発生量ピークは更に延びます。現在は、吹き付けアスベストなど、飛散しやすいものを中心とした除去・処理が優先されています。建築物の解体に伴って排出されるアスベストを含む建材はそのままでは飛散性が高くはないのですが、破砕などによって飛散する可能性がありますので、そのような作業場での留意が必要になります。 アスベストの使用開始が遅かった日本では、アスベストによる健康被害はこれから増加するという予想が報告されています(表)。それによれば、アメリカに比べて欧州は10〜15年遅れで、日本は20年遅れで影響のピークが現れるようです。適切な管理を進めるとともに、廃棄物処理過程でのアスベスト曝露がないようにすることも健康影響を小さくするための重要なポイントです。 |
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