2006年11月5日号
環環(Kann Kann)創刊のご挨拶森口祐一
オンラインマガジン環環(Kann Kann)へようこそ。早速お読み下さり、有難うございます。環環(Kann Kann)は国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センターが「高校生も楽しめる研究情報誌」というコンセプトで発行する広報誌です。創刊にあたり、ご挨拶をかねて本誌のねらいを説明しましょう。 私たちのセンターではいわゆる「ごみ」の研究をしていますが、ごみを減らすには、ごみの元となる「もの」がどこから来てどこへの行くのか、を知ることが大切です。こうした「ものの流れ」を私たちは「マテリアルフロー」と呼んでいます。 身近なフローとして、紙ごみを考えてみます。毎日のように、私のところにも、国内外の研究機関や会社などから、ニューズレターや広報誌などが送られてきます。そこにはとても役立つ情報が沢山掲載されています。どのような機関がどのような活動をしているのかを知るのにとても便利です。私たちのセンターの活動を広く知ってもらうために、同じようなニューズレターを発行することも考えました。でも、考えてみればこうしたニューズレターも「ごみ」の元になります。気になった記事だけ読んですぐに古紙回収のボックスに放り込まれるか、バックナンバーとして保存されたとしても、いつかは捨てられてごみとなる運命にあります。そこで、なるべく「もの」を使わない広報を考えることにしました。インターネットを使ったニュースマガジンはこうして生まれました。むろん、印刷すれば、普通の「紙」の広報誌としても読めるような構成にしました。 漢字のほうのタイトルである「環環」は、環境の「環」と循環の「環」から取りました。このメールマガジンの編集を担当する研究員のグループが考えたもので、若い女性向けの雑誌のタイトルをヒントに付けたものです。「環環」は横文字ではKann Kannと書くとこにしました。Kannはドイツ語で、英語のCanにあたります。環境先進国、循環先進国といわれるドイツに思いをはせながら、「やればできる、循環でよい環境が作れる」という思いをこめたものです。私たちのセンターの名称にもなっている「循環型社会」は、ものを大切に繰り返し使ってごみを減らし、資源や環境を守ることをねらいとするものですが、そのような社会の実現には「人と人のつながり」がとても大切です。「環」という文字はそうした「人の環」という意味も表していると思います。 一般に研究機関が発行するニューズレターは専門家に向けた難しいものが多いのですが、環環(Kann Kann)はできるだけ分かり易い内容とする方針で編集してみることにしました。国立環境研究所では毎年、春と夏の2回、施設の一般公開を行っており、私たちのセンターのある循環・廃棄物研究棟にも、小さなお子様から年配の方まで、数多くの方々に訪問いただいています。そこで皆様と接した経験からも、全ての方に満足いただける内容をお伝えすることはとても難しいのですが、「ごみ・リサイクル」という身近な問題について、なるべく多くの方々の疑問にこたえられるようにしていきたいと考えています。親しみやすさ、を重視して表紙のデザインも雑誌っぽくしてみました。特定の読者層だけに向けた雑誌と違って、あまり奇抜なものにもしにくく、これでもちょっと抑え気味、のつもりです。 これから本誌では、私たちがどんな研究を行い、どんなことがわかったのか、のほか、ごみやリサイクルに関するまめ知識、廃棄物研究の歴史などについての記事を掲載していく予定です。また、本誌の創刊にあわせて、循環型社会・廃棄物研究センターのホームページもリニューアルしました。センターの概要や、研究プロジェクトの内容などについては、「パンフレット」に掲載しています。研究成果の詳しい内容を知りたい、という方には、研究報告書などの形でホームページからも公表していきますので、そちらもあわせてご覧下さい。 こうした媒体での広報活動は私たちにとっても新しい試みです。広報誌は、発行者が一方的に伝えたいことを伝える内容になりがちですが、読者の皆様からのご意見・ご要望もお聞きしながら、なるべく多くの読者の期待・関心に応えられる誌面づくりを目指したいと思います。と、志は高く掲げたものの、まずは定期的な刊行を軌道に乗せることが最初の目標です。これからご愛読下さいますよう、どうぞよろしくお願いします。 |
||