2010年12月20日号
バイオメタンの発生量佐野 彰
【答え】
生ごみ
【解説】
まず、ペットボトルはポイ捨てされても、道端にずっと残っているように、微生物では分解できないので(だから、本当にポイ捨てはいけません!!)、バイオメタンは発生しません。その他のごみについては、これまでの事例からすると、同じTS(全蒸発残留物)重量(水分を除くごみの重量)あたりのバイオメタン発生量は、1下水汚泥:250 m3/t、2生ごみ:700 m3/t、3家畜ふん尿(乳牛):400 m3/t程度で、バイオメタンは生ごみから一番発生します。ただし、微生物の活動は温度や時間などの発酵条件で異なるので、バイオメタンの発生量もいつも同じではありません。上記は中温(37 ℃付近)の事例で比較した数値です。高温(50 ℃前後)の条件では、下水汚泥からでも600 m3/t程度のバイオメタンが発生する例もあります。今回はTS重量あたりで比較を行いました。これは、微生物の活動にはごみの濃度も大きな影響を与えるからで、このTS濃度やVS(有機体固形物)濃度がメタン発酵の指標に広く用いられています。 どうしてごみの種類によってバイオメタンの発生量が違うのかというと、ごみに含まれる成分の違いに因ります。微生物が食べやすい炭水化物が生ごみには多く含まれますが、家畜ふん尿にはあまり含まれていません。また、下水汚泥はそれ自身が微生物の塊で、とても食べにくいといえます。 では、なぜ皆さんの周りで生ごみからバイオガスを作っている施設はあまり見られないのでしょう? それは、ごみの発生量やごみが出る場所に関係します。一家族が1日に捨てる生ごみは1 kg程度ですが、乳牛一頭が1日に排泄するふん尿は60 kgにもなります。また、下水汚泥は排水処理施設でまとまって廃棄されますが、生ごみは家庭ごとにばらばらの状態で捨てられています。バイオメタンの発生量では劣っても、集めやすくてまとまった量が確保できる拠点のある下水汚泥や家畜ふん尿の方が、現段階では実用上有利なのです。 |
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