2010年12月6日号
世界のトイレ事情蛯江美孝
【答え】
約25億人
【解説】
世界保健機関(WHO)と国連児童基金(UNICEF)の推計によると、世界で約25億人が下水道などの基本的な衛生施設を利用できない状況にあり、そのうち70パーセント(約18億人)がアジアに暮らしています。 汚水処理は排出者に直接の利益が生じない後始末のようなものですので、できるだけお金をかけたくないと思うのが普通です。実際、汚水処理施設の普及率と一人当たりのGDPには一定の相関関係が見られ、お金に余裕がないとなかなか普及しないのが現状です。そこで、汚水処理施設を衛生改善だけでなく、温暖化対策や資源循環、エネルギー回収など、複数の利便性を兼ね備えた(「コベネフィット」と言います)技術開発・システム構築に期待が集まっています。 国連はミレニアム開発目標(MDGs)の中で「安全な飲料水及び衛生施設を継続的に利用できない人の割合を2015年までに半減する」という目標を掲げています。もちろん、この問題の解決は貧困問題とも密接に関係しており、残念ながら、現状のままでは2015年には目標の達成は困難であることが指摘されていますが、私たちも、できるだけ安価に衛生環境を改善し、環境への汚濁物質も減らせる技術・仕組みを各国のパートナーと一緒に考えていきたいと思います。 |
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