2009年12月7日号
アオコ神保有亮
【答え】
呼吸障害を引き起こす
【解説】
アオコは世界各地で観察されており、我が国においても霞ヶ浦をはじめとする閉鎖系湖沼において毎年のように観察されております。アオコは藍藻類が異常増殖する現象であり、アオコが発生した湖沼は緑色のペンキをまいたような色になります。アオコはカビ臭の原因となる物質をつくったり、貧酸素水塊(酸欠状態の水域)を形成したりしますが、近年ではミクロキスチンという毒素をつくり出す問題が注目されています。このミクロキスチンは青酸カリの数十倍の毒性を持ち、魚や水鳥に大きな影響を与えています。呼吸障害を引き起こすのは、アオコではなく、富栄養化の原因の1つである硝酸態窒素です。飲料水等に含まれた硝酸態窒素を過剰摂取することにより、人体内の酸素が欠乏状態になり、皮膚や口唇が青紫色に変化(チアノーゼ)し、呼吸障害、意識障害などを引き起こします。これをメトヘモグロビン血症と言います。しかし、アオコもメトヘモグロビン血症も水質汚染によって引き起こされる問題です。 途上国の農村部では、汚水処理システムが発達しておらず、生活排水は河川や湖沼へそのまま垂れ流しになっているのが現状です。加えて、都市部の急激な経済発展により、都市部やその周辺地域の河川、湖沼の水質汚染は深刻になる一方です。コスト的な問題から、最先端の汚水処理システムの導入、運営も難しいため、途上国では低コスト、低エネルギー型の汚水処理システムが求められています。同時に、海水面の上昇や生態系の変化などの地球温暖化の影響も各地で表面化していることから、温室効果ガス発生の少ない汚水処理システムも求められています。 |
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