2009年10月19日号
不適正処分された廃棄物の処理にかかる費用山田正人
【答え】
約490億円
【解説】
香川県の豊島では、昭和50年代後半から平成2年にかけて、重金属や有機塩素化合物、ダイオキシン類を含む廃油や汚泥、廃プラスチック類(シュレッダーダスト)等が不適正処分されてきました。これらの廃棄物と汚染された周囲の土壌、約67万トンを、平成15年から平成24年の10年間かけて全量撤去・処理して原状回復する費用は、中間処理施設などの施設整備費が約210億円、施設の運転管理費や撤去した廃棄物等の海上輸送費等が約280億円、合わせて約490億円と見込まれています。 この事業は、まず処分地に汚染が拡大しないように遮水工を施し排水処理施設を設置したうえで、廃棄物を掘削・保管、海上輸送し、別の島(直島)に建設した中間処理施設で破砕・溶融処理し、産出されたスラグや金属、有価金属を含む飛灰を再利用するというものです。 豊島の例のように、過去に行われた不法な行為を原因者に復旧させることは困難な場合が多いのですが、かといって、代行に要する高額な費用を自治体(香川県)だけでは賄えきれません。このため、施設整備費には1/4、有害性の高い物質の処理費には1/2、その他の処理費には1/3の国庫補助が当てられています。また、これらの事例を契機に、過去(平成10年以前)に行われた不適正処分や不法投棄等の原状回復事業を支援するために、「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法」が平成15年に制定されました。 |
||