2009年3月9日号
焼却排ガスの処理井上 研一郎
【答え】
〜の全て
【解説】
焼却施設から排出されるガス中には、ばいじん(焼却により飛散する粒子状物質)、塩化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、ダイオキシン類などの環境汚染物質が含まれており、ろ過や吸着といった物理的な分離操作や、中和や触媒を用いた化学反応によって、これらの大気中への排出を減らしています。 2007年9月18日号「ダイオキシン」で述べられているように、燃焼制御やガスの急冷などによりダイオキシン類の生成を抑えることができますが、煙道(排ガスが通る大きな管)に活性炭を噴霧し、吸着させることによっても大気中への排出を抑えることができます。また、触媒を用いて酸化分解することもあります。 ばいじんの処理については、排ガスを布製のフィルターに通しろ過する方法が広く用いられています。このフィルター上にはばいじんや噴霧した活性炭が捕集され堆積しており、排ガスがこの堆積層を通過する際にダイオキシン類が吸着し、より低濃度になります。 窒素酸化物についても、燃焼制御などによって生成を抑えていますが、触媒を用いてアンモニアなどと反応させることで還元分解することもできます。 塩化水素については、中和反応により排出を減らしています。中和とは、酸とアルカリから塩(えん)と水が生成する反応です。消石灰(水酸化カルシウム)の粉末を煙道に噴霧することなどにより処理されています。なお、硫黄酸化物も消石灰と反応させることで処理することが可能です。 ろ過や吸着といった操作、中和や触媒反応は中学・高校までに学習する内容ですが、このように焼却排ガスの処理の分野にも応用されています。 |
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