2009年2月23日号
針葉樹
炭素は、石油や石炭の主要な構成元素であるだけではなく、生きとし生けるもの全てに含まれている重要な元素の一つです。一方、地球上に存在する炭素の量は、地球を海も大気も均一に混ぜて考えると、1 g中に0.0005 g、空気中だけで見ると0.0002 gと言われています。では、私たちが普段目にするモノにはどれだけの炭素が含まれているのでしょうか。 女性の憧れ(?)のダイヤモンドは全て炭素でできている(1 g中に含まれる炭素量はもちろん1 g)ことは有名ですが、炭素の塊と思われている石炭は、無煙炭と呼ばれる炭素純度の高い石炭でやっと1 g中0.9 g以上で、製鉄で用いられる瀝青炭では1 g中0.83-0.9 gとなっています。バスやトラックの燃料である軽油の炭素量は、1 g中におよそ0.85 gで石炭とあまり変わりません。プラスチックは、元となる化学原料の種類によって異なりますが、ペットボトルの主要材料であるPET(ポリエチレンテレフタラート)1 g中には0.62 gの炭素が含まれています。杉やヒノキなどの針葉樹林は1 g中におよそ0.5 gの炭素が含まれています。木に含まれる炭素が他の材料と比較して少ないのは、糖類(C6H12O6)が鎖状につながったセルロースと呼ばれる有機物が主成分のためですが、光合成で生成されるセルロースの原料は空気中に含まれる二酸化炭素であり、およそ2500倍も濃縮されていることが分かります。 廃棄物系バイオマスには針葉樹などに由来する建築廃木材も多く含まれており、これらに含まれている炭素を効率的に濃縮する炭化技術により燃料や機能性材料として有効活用することは、カーボンニュートラルな資源の利用促進の観点からも非常に重要です。 |
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