2011年4月1日号
一時休刊前の編集後記橋本征二
環環の創刊は2006年11月5日でした。それから4年と5ヶ月、本号までで総計94号をオンライン刊行してきました。実は、環環で編集後記が登場するのはこれが初めてです。今回、5年の中期計画の区切りとなることから、環環の編集担当者として、創刊当時の議論やちょっとした裏話などを含め、書かせていただくことになりました。因みに環環は本号をもって刊行をしばらくお休みし、編集担当者も交代して、新環環として2011年初夏にリニューアル刊行する予定です。 循環型社会・廃棄物研究センター(循環センター)が組織されたのは2001年4月でしたが、組織の立ち上げ期だったこともあり、2001〜2005年度の最初の中期計画期間では定期的な通信物を発行する体制ができていませんでした。研究所内外からの要望もあり、次の中期計画(2006〜2010年度)において、循環センター独自の通信物の発行が検討されたのがことの始まりです。 当時、国立環境研究所では、すでにいくつかの通信物が発行されていました。「そうした通信物との違いを出そう」という視点から出てきたアイデアの一つが「高校生も楽しめる研究情報誌」というキャッチフレーズでした。ごみ問題は私たちの生活に身近な問題でもありますから、「分かりやすさ」は研究成果を発信する上でも重要な視点です。「当ててみよう!」や「循環・廃棄物のまめ知識」のコーナーもこのような視点から作ったものです。目標としていた分かりやすい情報発信がどれだけ達成できたかについては心許ないところもありますが、執筆者も編集者もその気持ちで臨んできたつもりです。 実のところ当時、刊行が軌道に乗った暁には、近隣の高校に記事をメールで配信するという案も出ていました。この企みは実現しないまま現在に至っていますが、これに関連する大きなニュースもありました。それは、環環の記事の一つが2009年の山梨県公立高校の国語の入試問題に採用されたというものです。そう、環環を読んでいれば入試で得をするかも知れないのです!! これは私たちにとってとても喜ばしいニュースでした。 環環(Kann Kann)という名前や、Dr.グッチー、ゆうぞう博士、たけちゃん&りえちゃんといったキャラクターも身近な雰囲気を出したいという気持ちから生まれたものです。環環という名称の由来は創刊号の記事を参照いただければと思いますが(2006年11月5日号「環環(Kann Kann)創刊のご挨拶」参照)、Kannはドイツ語で英語のCanに相当するものです。2008年に「Yes, We Can」が一世風靡したことを思えば、この「Kann Kann」は時代を先取りしたネーミングであったと言えなくもありません。2008年の夏の大公開では、環環の記事をもとにした環環検定も実施しました(2008年8月11日号「循環センター 2008年夏の大公開」参照)。この時も、もちろん皆さん「Yes, We Can」で挑戦していました。 環環のもう一つの特徴として、オンラインでの発行があります。私たちが「ごみ」を中心に研究をしていることからもお分かりいただけるように、できるだけごみにならない発行形態を目指したというものです。ただ世の中を見てみますと、電子化によって紙の消費量が減ると言われてきながら、結局のところ電子情報をプリントアウトしてしまうため、実際には減る傾向にはありません。最近電子書籍が流行り始めていますが、電子的に情報を入手することが次第に一般的になると、社会全体としても紙の消費量が減っていく時代が来るのではないかと思います。 さて、環環ではいくつかのコーナーを設置していますが、私たちの間で議論しながら実現できなかった企画が一つあります。それは循環・廃棄物に関わる素朴な疑問に答える「聞いてみよう!(仮)」というコーナーです。ごみは身近な問題であるがゆえに、また、非常に複雑なルールや制度となっているがために、素朴な疑問が多々あると思います。例えば、「ペットボトルのリサイクルは意味があるの? 本当にリサイクルされているの?」「今使っている古い家電を捨てて最新の省エネのものに買い替えるとごみが増えるけどいいの?」「ごみの分別方法はなぜ自治体のよって違うの?」などです。夏頃に再開される新環環では、こうしたコーナーの設置も検討していますので、是非ご期待下さい! 最後になりましたが、創刊時からこれまで、環環の発行を裏方で支えていただいた方達をご紹介します。原稿の依頼・受け取り・チェックといったプロセスの管理、総集編の編集などを担当いただいたアシスタントスタッフの小島恭子さん、掲載される原稿のチェックを担当いただいた研究調整主幹(旧研究調整官)の木野修宏さん(創刊〜2007年)、横井三知貴さん(2007〜2009年)、山根正慎さん(2009年〜現在)ならびに循環センターの主任研究員の方々、ウェブサイトをデザイン・作成いただいた(株)パワーコンピューターの岸田かをるさん、イラストを描いていただいたイラストレーターの小沢陽子さん、そして環環の命名者であり、環環のコンセプトの議論などを一緒に行ってきた主任研究員の南斉規介さん・・・皆さまのご尽力にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。 |
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