2014年の「国立環境研究所 夏の大公開」が7月19日に開催されました。資源循環・廃棄物研究センターでは「見つめてみよう、す・て・る・も・の」というタイトルのもと、体験型イベントや施設公開など様々な企画を行いました。ここではその内容をご紹介します。
「こでん屋さん」は使用済み小型家電（略して、こでん）に含まれる金属含有量について学ぶ企画です。「いらっしゃいませ！」のかけ声を聞きながらのれんをくぐると「おでん屋さん」のように鍋が用意されていますが、具は「おでん」ではなく、携帯電話やデジタルカメラなどの「こでん」です。受付でもらった器には「こでんを5つ選んで「Au（金）」の含有量を合計で0.124gにして下さい。」等の問題が書かれており、指定の金属がどのこでんにどれくらい含まれているかを考えながら5つのこでんを選びます。指定の含有量に近い量の金属を集められたら賞品をプレゼント、というゲームでした。小型家電に含まれている金属資源の貴重さについて考える機会に、というコンセプトでしたが、お子さんだけではなく親御さんも一緒になってゲームに熱中している姿が見られました。
当日はつくば市にもご協力を頂き、市の小型家電回収ボックスを一日限定で設置して来場者からの回収を受け付けました。市のシンボルキャラクター「ツクツク」も応援に駆けつけてくれ、お子さんたちの人気を集めていました。
「紫キャベツを使ったpH試験紙作り」は紫キャベツの紫の色素（アントシアニン系色素のシアニジンアシルグリコシド）が酸性、中性、アルカリ性で色が変化する性質を利用し、紫キャベツの煮汁をろ紙に吸収させて作成したpH試験紙を使って、様々なpH（酸性の度合い）の溶液を加えた時にどのように色が変化するかを観察する企画です。
紫キャベツpH試験紙に「苛性ソーダ」「こんにゃく」「重曹」「ポカリスエット」「水道水」「梅」「レモン」の７種類の溶液を垂らしてみると、紫色だったろ紙が赤、青、緑などの色に変化します。これはアントシアニンの構造がpHによって変化し、吸収する光の波長が変化することによって起こる現象です。ろ紙の上に溶液を垂らしながら色々な絵や文字を描いたりして楽しんでいる小中学生の姿が見られました。
「最終処分プラント実験室公開」では大型ライシメーター（埋立地の模擬試験施設）の説明や研究紹介ポスター展示の他、「レーザーメタン計使用体験」「ウキクサボールキーホルダー作り」の企画を行いました。「レーザーメタン計使用体験」は、レーザーを照らした先でメタンを検知するとブザーが鳴るレーザーメタン計を使って、５つの風船の中からメタンの入っている風船を当てるゲーム。研究者が実際に最終処分場で発生するメタンを計測するのに使っている機器を手にしてレーザーを放射する体験を通して、研究の一端に触れてもらう機会となりました。「ウキクサボールキーホルダー作り」は水質浄化作用を持つ「ウキクサ」でキーホルダーを創る企画。3種類のウキクサと色とりどりのビーズの中から好きな組み合わせを選んで、水を入れた半球の中に入れ、パチンとふたをかぶせると可愛らしいキーホルダーの出来上がりです。こちらは女の子に大人気の企画でした。
「熱処理プラント実験室公開」では熱処理プラント（実験用焼却施設等）の説明の他、溶融スラグ関連の展示や津波がれき関連の展示などを行いました。溶融スラグが、コンクリートやアスファルトなど様々な資材としてリサイクルされていることや、震災によって海水を被った木材の塩素分の分析と燃焼実験についてなど、主に大人の方向けの展示と説明でしたが、皆さんとても熱心に説明を聞いてくださっていました。
「あなたが30年後までまもりたいもの」というテーマで行われた絵画コンテストでは、資源循環・廃棄物研究センター賞として宮城県仙台市の嶋田可凜さんの作品「水の輝き」が選出されました。当日は宮城県から授賞式のために研究所までお越し頂きセンター長から直接表彰させていただいたのも嬉しいことでした。素敵な作品を描いてくださった嶋田さん、どうもありがとうございました。
以上、盛りだくさんで幕を閉じた、資源循環・廃棄物研究センター2014年夏の大公開でした！来年もお楽しみに！
