みなさんは、1日にどれくらいの排水を出しているかご存じでしょうか?洗顔、歯磨き、洗濯、トイレ、お風呂、食事とその後片付けなど、1日の生活の中で排水が出るイベントは、かなりの頻度で発生しています。
一人一日あたりに使用したり排出したりするものの量のことを「原単位」と言いますが,排水の場合は,排出する排水の量と,排水中の汚濁物質の濃度の両方を合わせて「排水の原単位」と言います。では、我が国の人ひとりが排出する排水の原単位は、どのようなものなのでしょうか?一般的に我が国での排水原単位は、排水量200L(うち、トイレ 50L、雑排水 150L)、BOD 200mg/L、総窒素 45mg/L、総リン 5mg/Lとされています(浄化槽性能評価方法)。これは、トイレから排出されるし尿(水洗の洗浄水を含む)と、台所、洗濯、お風呂から排出される生活雑排水の両方を合わせた値になっています。
図1のグラフは、実際の排水の排水量ピークを元に作られた、日本における5人家族の1日の排水量の平均的な変動を表しています。また、浄化槽において、排出される排水量のピークパターンは図1のように設定されています。このグラフを見ると、午前9時と午後8時に排水量のピークがあることがわかります。これらのピークは食事やトイレなども含まれますが、午前9時は主に洗濯、午後8時は主に入浴により排水量が増加しているものと推測できます。では、海外の場合はどうでしょうか?海外のライフスタイルは日本のものと大きく異なることが多々あります。例えば、毎日お風呂に入る習慣が無い地域があったり、食事が油っぽい地域や、朝食は基本的に外食で済ます地域もあったりします。また、水が不足している地域では、料理や洗濯、トイレなどの多くの水を使うことが出来ないことも多く、このような地域では排水量が少なく、排水中の濃度は高くなる傾向にあります。このように、排水の質・量は、その地域の自然環境や文化、ライフスタイルに大きく左右されます。排水処理のみならず、廃棄物の適正な処理のためには、その土地の文化的背景を調べることが非常に重要です。