2010年5月24日号
ウェイスト・ピッカー小島英子
ウェイスト・ピッカー(Waste Picker)」とは、直訳すると「ごみを拾う人」を意味し、発展途上国の路上や廃棄物処分場で、ビン・缶などの有価物をインフォーマルに回収・売却することで現金収入を得ている人たちのことです。以前は、ハイエナなどの腐肉を食べる清掃動物を意味する「スキャベンジャー(Scavenger)」という呼び名が使われていましたが、差別的な意味合いを持つことから、最近ではあまり使われません。 ウェイスト・ピッカーは、ほとんどが貧困層に属していて、廃棄物処分場内に家族で住んでいるケースもあります。医療系施設から排出される注射針などの有害廃棄物による感染や、割れたガラスなどによる怪我、清掃車との接触などの事故も多く、劣悪な労働・生活環境にあると言えます。2000年には、フィリピンのパタヤス処分場で、ごみの山が崩落し、200人以上が生き埋めになって死亡するという痛ましい事故も起きています。処分場内のウェイスト・ピッカーは、処分場管理の妨げになることから、しばしば管理者側の行政と対立関係になり、排除しようとする動きもあります。 しかしながら、ウェイスト・ピッカーは発展途上国におけるリユース、リサイクル活動の重要な担い手であり、資源循環に大きな役割を果たしています。近年では、ウェイスト・ピッカーの役割が認識され、彼らの労働環境の改善や、フォーマルな廃棄物管理システムの中に位置づける取組みが、現地の行政やNGO、国際協力機関などによってなされています。 |
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