2008年12月1日号
廃棄物系バイオマスからのエネルギー回収李東烈
近年発展の著しいアジア地域では、人口増加に伴う都市化及び産業の高度化によって廃棄物発生量が急激に増加し、様々な環境汚染が進んでいます。一方で、エネルギー確保への関心が高まり、有機性廃棄物が一つの資源(廃棄物系バイオマス)であるという認識のもと、有機性廃棄物を減量化すると同時に、エネルギー化・資源化する努力が各国で進められています。 バイオマスエネルギーは再生可能であり、エネルギーを貯蔵できるといったメリットがあるため、これを利用する技術も急速に発展しています。我が国でも1年間に発生する廃棄物系バイオマスを原油に換算すると約3,280万kLとなる(2007年1月9日号「バイオマス」参照)ことから、化石燃料の代替として二酸化炭素の増加を防止できる可能性を有しています。 バイオマスエネルギー変換技術は大きく分けて物理的・熱化学的・生物化学的変換の三つの技術に分類することができます。具体的には、食品廃棄物・廃プラスチック等を物理的に圧縮してつくるRDF(Refuse derived fuel)、廃油とメタノールを化学反応させてつくるバイオディーゼル、食品廃棄物などの生物化学的な嫌気発酵により得られるエタノールあるいは水素ガス・メタンガスが注目され、それらの生産技術開発が進められています。アジア各国では、例えば、韓国において発電量30kWhから2MW級の嫌気性消化プラントが7ヶ所で稼働しています。中国では嫌気発酵によるバイオガスの回収と農家における電力燃料としての利用が進んでおり、ガソリンを代替できるバイオエタノールは9ヶ所で計123万トン生産されています。 バイオマス資源は比較的何処でも得られる地域エネルギー源であり、経済効率性の点からも重要な役割を演じています。 |
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