循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 循環・廃棄物のまめ知識
2006年12月18日号

バイオアッセイ

鈴木 剛

 「バイオアッセイ」は、化学物質が持つ毒性を測ることを目的とした分析方法です。

 通常、化学物質の測定には計測機器などを用いた物理化学的な分析方法を用いることが多いのですが、この方法では化学物質の濃度は測れても、有害性の評価ができるとは限りません。実は、化学物質の多くは、毒性の情報が十分に解明されていないのです。バイオアッセイでは、化学物質に対する生物の反応をみることで、その物質が有する有害性を評価することができます。

 現在私たちがバイオアッセイによる評価の対象としているものの一つが、「ハウスダスト」――いわゆる家の"ほこり"です。室内で使用されているさまざまな化学物質の溜まり場になっていると考えられるダストが毒性をもつ場合を懸念して、ダスト中の化学物質の有害性の評価を試みています。

 ハウスダストの評価に使用しているバイオアッセイは、次の2種類です。

  1. 細胞を用いるバイオアッセイ。ダイオキシンのような毒性物質に対する細胞の反応を検出し、ダイオキシン類に似た有害性を持つ物質が含まれていないかを評価します。
  2. タンパク質を用いるバイオアッセイ。胎児や幼児の知能発達に関連する甲状腺ホルモンは、あるタンパク質と結合して体内のさまざまな器官へと運搬されます。このことを利用して、甲状腺ホルモンと同様の結合性を持つ(つまり、胎児や幼児に悪影響を及ぼす可能性のある)化学物質が含まれていないかを評価します。
Dr.グッチー

 これまでの研究結果から、ハウスダストには、化学物質が蓄積しやすい都市港湾で採取したヘドロなどよりも、高い有害性を持つものがあることが分かりました。

 今後は、ハウスダスト中の有害性に関与している化学物質の正体を明らかにしていく必要があります。その結果は、室内で使用されているさまざまな化学物質の制御方策の提案につながり、ひいては、より安全な生活環境の実現へと役立てられるのです。

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