循環型社会・廃棄物研究センター オンラインマガジン『環環kannkann』 - 近況
2008年10月6日号

資源循環、廃棄物処理分野の技術開発の行方は?

横井 三知貴

 循環型社会・廃棄物研究センター(循環センター)は、平成18年度から始まった5ヶ年計画である第2期中期計画において、重点研究プログラム:循環型社会研究プログラムを推進しています。

 第2期中期計画も3年目に入り、今年はまさに折り返しの1年です。循環センターでは、ここ1、2年で室長クラス以上の研究者の退職が予定されており、研究を途切れなく進めるため、世代交代を円滑に進めるとともに、次期中期計画を見据えた研究展開の検討も視野に入れる時期に入ってきました。一方、研究所全体では、平成19年度に大型施設の見直しに関する検討が進められました。循環センターに関しては、この見直しにおいて、資源化プラントを平成20年度末までに廃止するとの決定がなされました。資源化プラントとは、生ごみから生分解性プラスチックの原料となる乳酸を回収する装置や、高濃度の窒素含有排水からアンモニアを回収する装置など、循環センターにおいて再資源化技術の開発を行うために設置された実験プラントのことです。

 このようなことから、循環センターでは、資源化プラント廃止後の新たな大型施設や今後必要となる分析機器の導入に関して検討会を設置し、議論を進めることにしました。この検討会では、併せて、循環センターが今後行うべき技術開発のあり方などについても議論することになりました。この記事を執筆している時点では計5回の検討会が開催されています。今回はこの検討会でどんな議論が行われているかを簡単に紹介したいと思います。

第1回検討会

 まず、議論の進め方として、循環センターが中期的に実施すべき技術開発研究を見定め、その中で、どのような施設・機器を整備するか検討することにしました。また、廃棄物を処理するための技術と、処理が適正に行われたかどうかを確認する計測技術、これら両方の技術を持ち合わせていることが循環センターの強みであり、これを堅持していくべきであることを確認しました。

第2回検討会

 世の中にある廃棄物処理技術や資源循環技術の評価を今後も行っていくためには、循環センター自身での技術開発を継続していくことが必要であること、また、今後の5〜10年間という時間スケールでどのような技術開発を行うべきかを検討するのが適当であることを確認しました。

第3回検討会

 技術開発について検討する際に考慮すべき観点を整理しました。例えば、次のような観点です。

  1. コストを意識すること(エネルギーや資源の価格とリスクのバランスを考慮)
  2. 様々な資源が枯渇しつつあり、廃棄物が天然資源を代替するものとなりつつあること
  3. 廃棄物処理が社会問題となりつつある開発途上国に対応した技術が必要であること
  4. よって、先端技術だけでなく、既存技術やローテクノロジーにも目を向けるべきであること

第4回検討会

 所外の有識者から、今後必要な技術開発として、例えば、ダイオキシン対策に対応した焼却炉の更新に向けた焼却技術の開発が必要であるとの助言を得るとともに、大学や民間企業等も巻き込んで技術開発を行うべきであることなどを確認しました。

第5回検討会

 今後必要な大型施設・機器をどこに設置するのか(循環センター内か外か)、開発中のどの技術をスケールアップ(大型化)するのかという見極めが必要であること、これまで蓄積した実験器具や備品を整理し、実験スペースを確保することが重要であること(ちょっと議論が脱線しました)などについて議論しました。


 以上が途中経過ですが、この後、数回の検討会が開かれ結論が導かれる予定です。循環センターにおける効果的な施設利用に関する提案はもちろん必要ですが、より望ましい姿の循環型社会を実現するためにどのような技術開発を進めるべきかについても何らかの提案ができれば素晴らしいと考えています。

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